◆日本人のルーツを示唆する血液型分布

九州はB型が多い蒙古人型(蒙古族、北シナ漢民族、満州族等、インド人は蒙古人型に近い)や、B型が多いがO型もやや多い南アジア人型(フィリピン、マレーシア、南方漢民族等)とは著しく異なり、むしろ東欧・西アジア型と近いことがわかりました。世界的に見ると地域で結構な差があるんですね。日本人の祖先が何派にも分けて日本列島に到着した、そのどこから来たかによって各県で濃淡があるのではないかという説があります。
これは一つの説ですが、約2万年前に南方系モンゴロイドが黒潮に乗って、太平洋側に到着しました。これは、インドネシアやフィリピンといったO型が多い人々です。だから、沖縄や太平洋側でO型が多い理由になっています。そして約1万4,000年前にユーラシア大陸北部のB型モンゴロイドが、樺太や北海道を経由して、北から南下して
きました。東日本でB型が多い傾向の理由になっています。さらに約6,000年前にA型モンゴロイドが、中国南部、朝鮮半島を経て北九州に上陸しました。これが西日本でA型が多い理由です。こういうふうに、日本人の成り立ちの中で、どの地域から来たかということが、いまだに各県での血液型の濃淡に表れているということなんです。これは一定の説得力があるなと思いました。O型が九州で少ないのは、朝鮮半島や大陸から来た人たちにA型が多かったからだと思います。その傾向が西日本に残っていることにびっくりしました。ただ献血車に乗って献血しただけですが、調べてみたらデータがはっきり出ていて面白かったので、「これは歴史学じゃないか!」と思いました。

◆福岡市内は献血する人が少ない

このデータを基に、たとえば「福岡ではO型をなるべく集めるためにどうするか」という取り組みがされています。献血センターの永井さんによると、福岡市内は人口の割には献血数が少ないという話もありました。

永井さん:福岡市内は人口が増えていると言われていますが、献血率からいくと、ちょっと厳しいところがあると思います。人口は増えているので、献血する人の比率がもうちょっと上がればな…という感じなんです。福岡市内には献血ルームが3か所ありますので、そちらの方にもっと来ていただきたいです。また、移動献血バスの実績も、もう少し継続率が上がればなと思っています。献血ルームの方は常時休みなく開けておりますので、ぜひ献血ルームに足を運んでいただけたら非常にありがたいです。私は高校生の時からずっと献血をしてきました。今では、献血をすると「水分を取らなきゃいけない」というこ
とで、始まる前と終わった後にジュースをたくさん飲ませてもらえます。それと献血アプリ「ラブラッド」もできて、献血の記録を簡単に残すことができます。日本の歴史にも思いを馳せながら、献血をしてみませんか。

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。