血液型の分布で歴史を紐解ける―――そんなことを考えたことがあるだろうか? 職場で行われた集団献血会場で「O型の血液が足りない」と聞いたRKB報道局の神戸金史解説委員長は、あるデータから日本の歴史を紐解いた。RKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で報告した。
◆職場で献血をした時に耳にしたこと

先日、RKBに献血車が来ていたので、献血をしました。そこで「O型の血液が足りないから、O型の方は特に協力お願いします」と書かれたチラシをもらいました。担当の方は「九州はO型が少ないんですよね」と言っていました。

「地域によって、血液型の分布に差があるのだろうか?」と疑問に感じ、今回は福岡県赤十字血液センターの献血推進課長の永井正一さんにお話を伺いました。
永井さん:献血は大きく4つの区域に分けられています。企業を対象にするのが「職域献血」で、福岡県内のおよそ30%の団体にお願いしています。その他、「地域献血」や「街頭献血」、大学等に行く「学域献血」があります。RKBさんには今回「職域献血」としてお伺いました。
神戸:「O型が足りない」というチラシをもらったのですが、地域で結構差があるんですね。
永井さん:九州地方でも沖縄は突出して多いのですが、九州本土の方になってくると、全国的に割合が低いんです。関東と比べると約1.4%、九州の割合が低くなっています。東北地方は平均31.6%いて、1.8%開きがある状態です。
◆O型の血液は使用量が多い
福岡県赤十字血液センターから、ある論文を送ってもらいました。
社会実情データ図録
1)古畑種基:血液型の話,第1版,202~205,岩波新書,1962
2)本川裕 社会実情データ図録 都道府県別の血液型分布

血液型分布グラフを見ると、全国ではおおよそこんな感じです。
A型 4割
O型 3割
B型 2割
AB型 1割
ところが都道府県別に見ると、北海道・青森県ではA型とO型の割合に大きな差がありません。一方、九州は明らかにO型が少ないのが、データではっきりしています。グラフを見ると、北から南、九州に行くに従って、だんだん差が開いているようにも見えます。
献血センターの永井さんによると、O型が少ないと困る問題が起こるんだそうです。
永井さん:O型の血液は、A型、B型、AB型の方が最悪の状況で同じ血液型がなかった場合に、使用するということになっています。そういった面からしても、O型の血液は比率的に使用量が多くなっているんです。
神戸:A型にB型は輸血できないけど、緊急の場合、O型は輸血できるということですね。
永井さん:そうです。そうなるとやはり他の血液型と比較すると、O型だけなくなり方が早く、在庫量も低くなっています。福岡県としてもできる限り「足りない」という状況は起こしたくないので、O型の方については他の血液型の方に紹介してくださいと呼びかけて、多くの量を確保できるように努力をしております。
◆都道府県別の色分けマップではくっきりと差が!
血液型の比率の高い順に10地域を選んで色分けした都道府県地図です。
※A型とB型の上位10位は重なりませんが、O型の比率の上位10位は、A型あるいはB型の上位10位と重なります。
そこで、O型に関してはダブりを除いて10地域を選んで色分けしてあります。データは古いものですが、戦後の大幅な人口移動を考えると、古い方がより実態に近いとみられるそうです。

これによると、A型(地図上では紫色)の割合は徳島、福岡、愛媛が多く、四国・九州・山陰が高くて、東日本は低くなっています。B型(地図上では深緑色)は逆で、秋田、青森、長野がトップ3。東北、中部、関東の比率が高く、西日本は低い傾向があります。O型(地図上では水色)は、A型やB型のようには東西方向では目立った傾向はありませんが、どちらかと言うと千葉、静岡、神奈川など、太平洋側で多い傾向があります。