シマシマ模様のシッポ、手先が器用で可愛らしい見た目の「アライグマ」ですが、日本では法律で生態系を脅かす「特定外来生物」に指定された、れっきとした“害獣”(防除対象)です。

40年ほど前、テレビアニメの強い影響でペット用として大量に輸入され、その後多くの飼い主が飼育放棄。手に負えず自然に放した結果、アライグマが野生化し各地で様々な被害を出しています。(※現在はペットとして飼うことが禁止されています)

<九州各県の捕獲数>
佐賀県 2843頭、長崎県 3029頭 大分県 1158頭、福岡県 2260頭 宮崎 1頭 鹿児島 0頭

こちらは、2020年度に確認された九州での捕獲された数です。1997年、長崎県で生息を確認されて以降、九州北部で急増しているそうです。

では、熊本の現状はどうなのか?取材しました。

”生態ピラミッドで頂点に立つかもしれない”

中部地方の農家で撮影された映像には。養鶏場に侵入したアライグマが映っています。狙っているのは…ニワトリ。器用に前足を伸ばし、捕食しました。

他にも、スイカが中身だけを器用にくりぬかれ、食べられるといった農作物への被害も。

NPO法人くまもと未来ネット 歌岡宏信さん「これがアライグマを捕まえるための箱わな。(わなに入っているのは)模型なんですけど」

わなを見せてくれたのは、アライグマの駆除に携わる歌岡さんです。熊本で15年以上前から活動しています。

歌岡さん「もともと日本にいた動物と違って、外来種なので天敵がいない。木登りが出来ていろんなエサなんでも食べることができる。雑食性で力が強い。そういう生き物って日本にはクマしかいなかった」

アライグマは、”日本の生態ピラミッドで頂点に立つかもしれない”と歌岡さんは危機感をあらわにします。

歌岡さん「17~8年前は(アライグマの)話を聞きませんでしたけど、今では熊本県の北部から南部まで様々な場所で見つかっている」

熊本県がまとめた報告によると、生息が確認された件数は右肩上がり。しかもわずかこの3年で、42匹から155匹と”3倍以上”に増えています。

考えられる理由のひとつが、アライグマの「繁殖力」の強さです。

歌岡さん「1年間に5~6匹の子どもを産むことができると言われている。子どもが増えていくと、手がつけられなくなるのは5年~10年のうちに必ずくるので、(対策するなら)今ですよね」