アメリカの連邦最高裁はバイデン大統領が肝いりで進めてきた学生ローンの一部返済免除について、無効との判断を示しました。

アメリカでは大学の学費高騰が社会問題になっていて、バイデン大統領は去年8月、連邦政府が提供する学生ローンについておよそ4300万人を対象に1人あたり1万ドル=およそ144万円の返済を免除すると発表しています。

この措置について連邦最高裁は先月30日、議会での承認を得る必要があり、無効との判断を示しました。中西部のミズーリ州など野党・共和党が優勢な6つの州が行政権の範囲を超えた措置だとして、差し止めを求めて訴えていました。

学生ローンの返済免除は、バイデン大統領が若年層の支持拡大を狙って肝いりで打ち出した公約で、来年の大統領選挙に向けて打撃になります。

アメリカ バイデン大統領
「学生ローン返済免除を無効とした裁判所の決定は間違っている」

バイデン大統領はこのように述べたうえで、「連邦最高裁は憲法の解釈を誤った」と批判しました。

そのうえで、今回の最高裁の判断に反しない形で「できるだけ多くの借り手をできるだけ早く救済する」として、これまでとは別の法律を根拠に新たな負担軽減措置を講じることを明らかにしました。

返済免除をめぐり、バイデン政権は新型コロナで経済的に打撃を受けた中間層への重要な救済策だと主張する一方、共和党はすでにローンの返済を終えた人や大学に進学しない人にとって不公平だと反対していました。

学生ローンの返済免除を無効とした連邦最高裁の判断について、トランプ前大統領は先月30日、「3人の偉大な判事が憲法と法律を書かれたとおりに解釈した」と述べて、自らが大統領在任中に保守派の判事を3人指名した結果、連邦最高裁での保守派の優勢が確立したことを誇りました。

そのうえで、学生ローンの返済免除について、「勤勉に働いてローンを返済してきた何千万人もの人にとって非常に不公平だ」と強調しました。