ウクライナ現地からの報告です。JNNは終わらない戦争に翻弄されながらも前を向き続ける人たちを取材しました。
ウクライナ南部ミコライウ州にある人口550人ほどの小さな村。
50キロ先にある水力発電所のダムが3週間あまり前に決壊、爪痕は今も残ります。地雷が流されてきた可能性もあるということで、道には注意を促す標識が…
この村では、ほとんどの人が農業を生業とします。ウラジーミルさんもその一人です。
ウラジーミルさん
「台所は完全に浸水し、天井まで水に浸かりました」
ダム決壊後、妻の家族のもとに避難し、難を逃れましたが、数日後、家に戻ると…
ウラジーミルさん
「70本あった果樹園の木は全滅です。3年前に植えたばかりだったのに」
じゃがいもやトマトなど育てていた作物は全て流されたといいます。同じ村に住むワディムさんも収穫を1か月後に控えていたオオムギなどを今回、失いました。
実は、去年も…
ワディムさん
「去年の秋、ロシアのミサイルが直撃し、この畑もそこもすべて焼け落ちました」
農地にあいた巨大なクレーターや突き刺さったままのミサイル。ロシア軍の侵攻開始以降、ミサイル攻撃などが続き、収穫は叶わなかったといいます。
農家の人たちにとって、苦難はこれだけではありません。
JNNが特別な許可を得て訪れたのは、ドニプロ川上流にあるカホフカ貯水池。日本の琵琶湖の6割にあたる水量があるとされましたが…
記者
「魚の死骸やヘドロのようなものが混ざった異臭が強く漂っています。そして、高台からみると、いかに広大な貯水池の水が失われてしまったのかよく分かります」
ダムから100キロほどの場所にあるこの貯水池では、決壊で70%もの水が失われたとされています。水は下流の農地にも供給されていたため、その影響は計り知れません。
ただ、戦争に翻弄される日々がいつ終わるのかは見えない中でも、みな言葉には力がありました。
ワディムさん
「私たちは希望を失ってはいけません。生きて種をまき、再建しなければなりません。必ずそうします」
失意の中でも、前を向いて進んでいます。
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