師匠が弟子に刻む思い「大切なのは『時間』ではなく『とき』」
師匠の中村さんは昂輝さんの夢が今後、変わってもいいと考えています。
(中村時計店 中村昭弘さん)
「昂輝の頭脳はね、時計職人でおさまる頭脳ではないと言っている。ただ今時計に一生懸命になっているから、私は遊び事ではなしに本腰で教えてやろうと思っているだけの話でね」

「『時間』がわしの収入の源、『時間』を計る時計が。けど人間は『とき』が大切。一生終わるときに大切なことは『時間』を抜きにした『とき』…」

そして、「とき」は動き出す
今、この「とき」を一生懸命生きてほしい。中村さんがこの日提案したのは、客の時計の修理です。
(修理を依頼した客)
「おじいの形見よ」
(小幡昂輝さん(12))
「お客さんの時計を、ぜんぶ自分で修理するのは初めてです。ちょっと緊張しています」

(中村時計店 中村昭弘さん)
「油の引き過ぎ。言われた通りにする」
「上等やね」

開始から4時間、客に時計を手渡します。
(修理を依頼した客)
「おー、立派に動くじゃないの。飾らんといかんわ。応接間かな」

「感心。こんな僕ちゃんおらんですよ。満点」
昂輝さんもどこか成長したように見えました。
(小幡昂輝さん(12)倉敷市在住)
「いやあすごくうれしいです。そんな喜んで頂けるんだったらめちゃめちゃ嬉しいです。人に喜ばれるっていうんですかね、そういう時計職人になりたいなと思いました」

周囲の大人たちの応援があるからこそ、近づける子どもの夢です。
悩むことはあるけれど、時計職人を目指す少年は今も、夢に向かってかけがえのない「とき」を刻んでいます。