きっかけは “動かないおじいさんの古時計”「生きた古い化石かなと」

なぜ昂輝さんは時計職人を目指すようになったのか。そのきっかけになった「もの」が倉敷市の自宅にありました。

(小幡昂輝さん)
「130~140年前の時計になります。おじいちゃんの実家で眠っていました」

小学4年生の時に祖父からもらった壊れた古時計(【画像参照】)。「見たことがない形」「味のある雰囲気」に興味が湧き、当時、インターネットで直し方を調べたといいます。

(小幡昂輝さん)
「生きた化石かなって思いました。動く姿をとっても見たかったんですよ。ゼンマイも巻けて鳴るんですよ。めっちゃうれしかったですよ。うれしい以外の言葉は出ませんでした」

その後「研究材料にしたい」とお小遣いなどを使って中古の時計を購入するようになりました。現在は自宅に100台以上あります。

その一方で、動画サイトを通じて高知にある中村時計店を知り、弟子入りしました。

同級生に打ち明けられなかった夢 その夢を支える父

夢に向かって邁進する昴輝さんですが、実は学校の友だちにはその夢を打ち明けられずにいました。

(小幡昂輝さん)
「夢のことは話していないですね。恥ずかしいですよね。ちょっと周りと違うので、変かなって思ったりしますね」

他人と違うことへの戸惑い。複雑な心境を知りながらも夢を大切にしてほしいと、毎週、約6時間かけて高知への送り迎えをするのは、父親の正雄さんです。

(父親 正雄さん(49))
「子どもが何かやりたいっていうのを、できるだけやらせてあげるのは親しかいない」