フランチャイズ形式で展開へ ハードと情報を統合する新たな製造業

――バッテリーは寿命が大事だが?

APB 堀江英明CEO:
実はリチウムイオン電池の最大の敵は水です。今の電池は溶媒を乾燥させるのに大気開放になるので外から水が入ります。これは電池にとって非常に問題で、携帯の電池は3、4年ぐらいしか持たないし、EVでも一生懸命頑張って10年ぐらいです。我々は真空の中で電池を作ります。真空は水分がないので、寿命は3倍以上伸びると考えています。

今のリチウムイオン電池は、エネルギー密度は比較的低く、発火リスクもある。それに対して、全樹脂電池はエネルギー密度が高い。

――今のリチウムイオン電池の2.5倍ぐらいの出力があるのか?

APB 堀江英明CEO:
EVを含めていろいろなものは、いかに限られた体積中にエネルギーを入れるかというのがポイントで、バイポーラ構造をとるとほとんど隙間がなく入れられる。今のEV電池は結構隙間だらけで30%から40%ぐらいしか体積がないのですが、これは80%を超えられる。エネルギーを最も詰められるという点が、バイポーラ構造の極めて高い特徴です。

――全固体電池は究極の電池と話題になっているが、それと比べてもエネルギー出力は遜色がなく、コストはかなり安いということで優位性がある?

APB 堀江英明CEO:
そうですね。全樹脂電池はゴムマットを作るように、作っていける最も簡単な構造なので、高速でできる点で安い。余計な部材は全く要らない。ポリマーは20世紀に最大に広がった産業で、大変技術もこなれているし、材料も大変豊富にありクオリティも高い。その点では非常に安くシンプルに。

――全個体に対して半固体電池の一つの概念が全樹脂ということか?

APB 堀江英明CEO:
その通りで、構造まで全部樹脂にしていくことによって、異常時に燃えたり爆発したりしないというのが大きなポイントです。

――量産技術を確立して生産に乗り出すということだが、プリンターのようにどんどん刷って、トナーを供給していくというビジネスモデルを考えているのか?

APB 堀江英明CEO:
真空で作る無人のロボットなので、自動運転とかドローンのような、これ自身が非常に高度なロボット化をしていきます。作っていった情報を全て取り込んで、学習していく装置になっているという点で、自動運転のような、まさにAIの世界に入ってくるわけです。

――装置と材料を供給して、多くの方々に作ってもらうようなビジネスなのか?

APB 堀江英明CEO:
そうですね、フランチャイズのような、コンビニのような形で。

――技術流出の問題はないのか?

APB 堀江英明CEO:
使っていただくことによって知識は我々にたまる。それでまた改良していくという形なので、いろいろなものを集約していき、知識をそのまま溜め込んでいく。ハードウェアと情報を統合させるという点で全く違う新しい製造業の形です。

(BS-TBS『Bizスクエア』 6月24日放送より)