災害が起きた時の、被害者の名前の公表基準が変わります。福島県は、災害のときに安否がわからない人の氏名の公表に関して、家族の同意なしで原則公表することになりました。

福島県は、これまで大規模な災害が発生した場合、死者・行方不明者の氏名の公表について、家族の同意が得られた場合のみ公表するとしていました。

これに加え、県は26日、災害時に円滑に救助活動を行うため、安否が分からなくなっている人に関して家族の同意がなくても原則公表するとした対応方針を発表しました。

公表されるのは氏名、住所、年齢、性別の4項目で、安否不明者が発生したことを確認してから24時間以内を目標に、県と市町村が調整して決めることにしています。ただし、家庭内暴力やストーカーなどの被害者は対象外としています。

災害対策課・工藤宇裕課長「公表することによって、少しでも安否不明の方の情報がわかって、ひいては捜索の範囲がこれで狭くなって特定できて、救助活動につながるというような効果を期待したい」

また、災害情報論を専門にする東京大学大学院の関谷准教授も、東日本大震災の例からこの公表には大きな意味があるといいます。

東京大学大学院・関谷直也准教授「(各地域で)新聞社や自治体の役場などで氏名を公表して安否確認を行った。一時行方不明になったが、どこかにいたとか避難所にいたなどの確認がとれて、捜索が不要になった例があります」

災害時の氏名の公表をめぐっては家族の同意を得るかなどで都道府県で対応が分かれていて、県内でも2019年の台風19号(令和元年東日本台風)の際に混乱があり、全国知事会が統一した基準を設けるよう政府に求めていました。