YouTubeチャンネル「どうぶつ奇想天外/WAKUWAKU」。再生回数第2位の人気動画は、中米コスタリカのグンタイアリ。2年前に公開するといきなりバズり、今では500万回再生を超えました。最強の昆虫。超危険生物です。
(「TBSテレビ「どうぶつ奇想天外!」初代プロデューサー 戸田郁夫)
ジャングル最強の危険生物
密林の中、ザーッという音と共に、アリの超大群が湧き出すように現れました。幅20メートルにもなる「黒いじゅうたん」の出現です。
兵隊アリはクワガタのような巨大な牙(大アゴ)を持ち、そこから毒液を出します。働きアリも強力なアゴを持つハンター。無数のアリたちが一斉にキリギリスやトカゲなどに咬みつき、払われても払われてもまとわりつき、バラバラに解体していきます。サソリはハサミも毒針も使えないままに、アリたちの毒針攻撃で溶かされてしまいます。


やがて黒いじゅうたんは木の幹を登り、スズメバチの巣ごと包み込むように襲いました。ハチの毒針は役に立ちません。アリたちは巣を占拠し、ハチの幼虫や蛹を引きずり出して奪い去ります。ジャングルはもうパニックです。
行軍は続き、アリたちは驚くべき連携プレーを見せます。足と足をつなぎ、自分たちの体を使って橋を架け、獲物をくわえたアリたちの踏み台となって渡らせたのです。
そして、なんと巣も、アリたちが体をつないで作ったバスケットなのです。こうしたキャンプを設営し、およそ2週間ごとに移動と定住を繰り返していくのです。

YouTube動画のコメント欄にも感想が寄せられました。
「献身的な動きするのは凄いな」
「1000万匹もいてこの統率力は凄い」
「言葉を持たない虫が共通認識を持って行動するのって凄いな」
献身的、統率力、共通認識…
すごすぎます。
グンタイアリの「献身」はどこからくるのか?
アリやハチなどの大集団で行動する昆虫を「社会性昆虫」と言います。番組を始めた1990年代中頃、私は社会性昆虫がなぜ、どのようにチームワークをするのか、不思議で仕方がありませんでした。(スタート当初「どうぶつ奇想天外!」の制作スタッフに大学で生物学を勉強した者はいませんでした。)
互いのコミュニケーションをフェロモンでやっているのは知っていました。それにしても、このチームワークは完璧すぎるではないですか。それに、アリたちはお互いのことをどう思っているのだろう?
「先生!わかりません!!」
そう、監修の千石正一先生(財団法人自然環境研究センター)に尋ねました。
先生は、私たちに言いました。
「あいつらはひとつのコロニー(群れ)で、ひとつの個体のようなもの。そう考えた方がわかりやすい。」
解説は続きます。