福島第一原発の処理水の海洋放出が迫るなか、その現状や課題をシリーズで伝える処理水 福島の葛藤。今回は、サーファーたちの声です。福島県いわき市では、サーフィンの全国大会が開催されていて、関係者は政府にさらなる情報発信を求めています。

水津邦治アナウンサー「いわき市の四倉海岸では、波乗りを楽しむサーフィンの大会が行われています」

いわき市の四倉海岸で、21日から開催されているサーフィンの全国大会。全国から集まったおよそ600人のサーファーが、その技術を競っています。

各地でサーフィンの大会が開かれる福島県内ですが、政府と東京電力は、夏ごろに福島第一原発の処理水を沖合1キロから海に流す計画です。

海と一体になるサーファーは「処理水」をどう思っているのか?

Q.アルプス処理水って知っていますか?
東京・三鷹市の中学2年生「授業で何回かやった。たまり続けるのも良くないし、ちょっと複雑な心境。(放出は)少量でいいから本当に危害がないようにしてほしいです」

千葉・柏市の会社員(22)「(全国の海からの放出に)分けてもいいのかなと思います。もし安全だというのなら、選択肢としてはありなのかなと」

千葉・旭市の会社員(26)「大丈夫だということを1回聞いたことがあるが、サーファーからしたらやっぱりあまりイメージはよくないかな。流してほしくないと思う」

沖縄から来た家族「子どもたち、次世代の子たちも原発の処理水のことを考えるとどうしても心苦しいというか、判断が難しいところ」

そして、会場では…。

水津アナ「サーフィン大会が開かれている会場の一角には、経産省のブースが構えられています」

経済産業省のブースには、福島第一原発のジオラマをはじめ、廃炉や処理水についてのパンフレットが並んでいます。政府は、こうしたイベントで処理水の安全性を発信しています。

廃炉・汚染水・処理水対策現地事務所 佐藤義就さん「(処理水の)安全性についてしっかりとサーファーの皆様に説明したいという思いでブースを出させていただいています」

処理水の放出で新たな風評が生まれる懸念について、政府の担当者は。

佐藤さん「安全性が大前提になる。科学的にどの位の影響なのかというのを我々からご説明させていただくことで、なんだそんなものなんだと安心していただくことが何よりの風評払拭の力になると思っている」

海洋放出に関して複雑な心境を示すサーフィン関係者は、政府や東電に「さらなる情報の発信」を求めています。

日本サーフィン連盟 酒井厚志理事長「もう少し色々な方法を取りながら、情報を広めていってほしい。サーフィンを楽しむ方も判断していただければいいと思っています」

サーファーの中には、「アルプス処理水」という言葉自体を知らないという方も多くいました。政府には、さらなる情報発信と丁寧な説明が求められています。