歌舞伎俳優の市川團十郎さんと新之助さんが、歌舞伎座「七月大歌舞伎」『め組の喧嘩』の成功祈願を東京・芝大神宮で行いました。
今回、夜の部で上演される『神明恵和合取組』は、「め組の喧嘩」の通称で知られ、文化2(1805)年に芝明神(現:芝大神宮)の境内で実際に起こった鳶と力士の喧嘩を題材とした、江戸の粋をたっぷりと味わえる世話物狂言。
江戸庶民の憧れの対象であった鳶や力士、当時の風俗が生き生きと描かれ、江戸っ子の心意気を感じられる作品。
芝大神宮は、題材となった鳶と力士の喧嘩の際に実際に打ち鳴らされた“め組の半鐘”が保管されているなど、本作にゆかりの深い神社です。

市川新之助さん 市川團十郎さん



成功祈願で、地元の鳶の方々と共に祈祷した團十郎さんは“今まで何回かつとめさせていただいていたんですけど、鳶の人間たちの生きざまというのは、鳶の方々を見ていると、背中で感じたので、僕も鳶をやるという上で、背中で見せられることも考えなければと思いました”と話しました。
新之助さんは“僕は多分、本物の鳶の方々と会うのは初めてだと思うので、すごく珍しい機会を頂いたかなと思います。それですごく目が覚めてきました”と会場の笑いを誘っていました。

市川團十郎さん


この日は2017年6月22日に亡くなった團十郎さんの妻、麻央さんの命日。團十郎さんは“きょうはお墓参りに行ってきたんですけど、ちょうどあの時は、空が真っ赤でね。未だに忘れられないような空の色をしていたんですけど、彼はまだね、3歳ちょっとですから、まだわかってないね”と話すと、新之助さんは“覚えている”と話しました。

市川新之助さん




続けて團十郎さんは、“喜んでいるかどうか分からないですけど、この間も私事なんですけど、彼(新之助)が初めて助六を踊って、妻は生前に私の助六が好きだったので、「いつか、かんかんの(勸玄、新之助)助六が見られたら泣いちゃうわね」みたいな話をしていたものですから、そんなことを見てほしかったなっていうのと同時に、空から見ているでしょうけど、見てほしかったっていう気持ちはあります。團十郎、新之助として初めて彼女の命日を迎えられ、無事に迎えたよってことを、朝は1人だったんですけどね。子どもたちが学校行ったので、こうやって報告しに行きました”と明かしました。

歌舞伎座新開場十周年「七月大歌舞伎」は、7月3日(月)から7月28日(金)まで、昼夜二部制で開催されます。

【担当:芸能情報ステーション】