日本の男女平等化は世界に“10倍遅れ”!?

井上貴博キャスター:
民間企業でも、進んでいるところと遅れているところの差は結構あると思います。

今の政治でいうと、ここ数年、強制的に女性の比率を上げようというクオータ制が議論されています。私は基本的に賛成ですが、この議論をすると「いやいや、性別ではなくて能力で見るべきだ。むしろ逆差別だ」という声が必ず上がります。

だとすると「男性ってそんなに優秀ですか」と思うんですよ。男性が男性脳で作ってきた仕組みで土俵に女性が上がれなかったなら、その仕組みを変えようとするのは男性であるべきだと私は思っています。ジェンダーギャップの専門家には女性が出てくることが多いんですが、いや、男性が上げるべきだと。

萩谷弁護士:
おっしゃるとおりで、この男女平等格差を改善していくには、男性の意識を変えていかなければならないと思います。

経済の点でも日本は遅れていますが、特に上場企業は、やはり多様性が取り入れられていません。女性の取締役がいない、あるいは少ないとなれば、その企業には海外からもう投資されなくなりますし、株主総会で機関投資家から経営陣にノーを突きつけられます。外部の目が入る余地がかなりありますので、企業というのは多様性を取り入れていかなければなりません。

ただし、今、女性を取り入れている企業は社外取締役という形が多いです。社内の執行に関わる形での取締役を増やしていかないと、その企業が本当の意味で多様性が実現できるとは思えないです。

そういう意味では、企業のほうが切羽詰まっています。政治については外部の目がなかなか入りにくく、それで進まないという点はあると思いますね。

南波キャスター:
ジェンダーギャップ指数について、日本は徐々に平等になってきているのかと思いきや、実は2006年に80位だったものが、むしろ下がってきています。先ほど萩谷さんから「悠長」という発言がありましたが、実際に専門家もこう指摘しています。

村上由美子さん(OECD東京センター元所長)
「日本の男女平等が進んでいないわけではない。ただ、世界のスピード感は10倍速い

井上キャスター:
あとは政治に女性がどんどん進出できるように、子育ての考え方や、「家族で絶対やりましょう」といった日本の考え方をちょっとずつ変えて、「社会でどう育てますか」というのを変えていかないと、出たくても出られない方も多くいらっしゃいます。

萩谷弁護士:
そうです。たとえば1位のアイスランドでは、やはり男性の育児休業取得率が9割に達しています。そういうところに理由はあるということになりますよね。