――社長として事業構造の転換に取り組んでいるが、IHIは実は次々と事業構造を変えてきた会社?

IHI 井手博社長:
おかげさまで今年170年です。ペリーが来航した時に作られた造船所から生まれている会社ですので、そこからカウントすると170年です。造船が当然メインだったところから発電や重機械、航空、ターボチャージャーと、柱がどんどん変わっている企業体ですので、今回カーボンニュートラルの世界になって「逆風を推進力に変えろ」という話をよくします。クリーンエネルギーはこれからなので「育成事業」と名付けてここに投資をしていこうと今覚悟を決めたという感じです。

――50年後はどんな会社になっているか?

IHI 井手博社長:
全く違うのではないかなと思います。重工業という形かどうかもわかりませんし、もうそもそも重工業と名乗っていませんから、もっと柔らかい会社になるのかもしれませんし。50年ですからちょっと分かりませんが、それぐらい変わらなければいけないのだろうな。

アンモニアの需要は2019年は108万トンだったが、2030年には300万トン、2050年には3000万トンの需要が見込まれている。2019年の時点では国内生産が8割弱に及んでいたが、現在は輸入が大きく増え5割程度になっているのではないかと言われている。

アンモニアを作る過程で出るCO2をどう抑えるかが課題。運んできて日本で貯め、発電所や製鉄所あるいは燃料として使うというアイデアだ。これをトータルで考えていかなければ、新しい脱炭素の本命の地位を占めることはできない。

脱炭素に向かって多方面からアプローチしているのが我々の現在地ということか。

(BS-TBS『Bizスクエア』 6月17日放送より)