去年静岡県牧之原市で起きた、送迎バスでの園児の置き去り事故。
これから暑さが本格化する中、こうした心配は尽きません。
事故や熱中症から子どもの命をどう守るのか。名古屋市の取り組みを取材しました。
(名古屋市内で街頭インタビュー)
「暑いですね、休みをもらって出かけたけど、やっぱりやめた方が良かったかな…」
「日差しが肌にあたって、もう、とにかく暑い」

東海地方の各地で真夏日となった19日。
半袖姿や日傘を差す人が街のいたるところで見られました。

暑さが本格化する中で、これから心配されるのが熱中症です。
そんな中…、名古屋市港区の保育園では「暑さ」から子どもの命を守る、こんな取り組みが。

(先生)
「きょうも、これをつけます。迷子になったときに大事なものだから、はずしません!」

園児の腰についているのは、GPS。

スマホアプリと連動していて、あらかじめ設定したエリアから園児が離れると、アラームでその位置を知らせてくれます。


(ひまわり畑で遊ぶ子どもたちを見守っている保育士)
「ひまわりとかあって、子どもがその中に入っていくと、子どもの身長くらいなので、どうしても目視で見分けにくくなったり、見つけにくくなったりするので、そこの部分のフォローになる」


名古屋市はこのアプリについて6月16日から実証実験をしていて、今後、実用化するかどうかは実験結果を踏まえて検討するとしています。
きっかけは「園児のバス置き去り事故」でした。

2022年9月、静岡県牧之原市の認定こども園で、通園バスの中に置き去りにされた3歳の園児が熱中症で死亡した事件。
園児は発見時、上半身の服を脱いでいて体温は40℃ほどまで上がっていました。
今回取材した保育園の園長は迷子を防ぐだけでなく「置き去り事故防止」のためにもアプリの活用を前向きに検討しています。

(愛名保育園 日比勇三園長)
「置き去りはあってはいけないことなので、こういった機器を導入して、子どもたちの安全が確保できるのであれば、ぜひ導入をしていくべきだと思う」
いつでもスマホで園児の位置が確認でき、危険があると知らせてくれる便利なアプリですが、保育の現場で一番大切にしているのが、大人の監視の「目」です。

(保育士)
「バスの中に取り残された子どもがいないか、実際に目で見て確認する」
バスの乗り降りの際は、取り残された園児がいないか目で見て確認。
(保護者)
「(GPSを)暑くて取ったり、かゆくて取ったりするとなくなる。人間の目で確認をしないと親としては心配」

アプリはあくまでも「人の目」のサポートに。
事故が起きる可能性をゼロに近づけるための取り組みが進んでいます。