寝たきりの子どもを施設に預け、コロナ禍で3年にわたって「窓越しでの面会」を余儀なくされてきた親がいます。
こうした中、6月から「直接会える面会」が再開。待ち焦がれた“ひと時”を取材しました。

(廣中郁子さん)
「今から娘のいる施設に行ってきます」
愛知県内に住む廣中郁子さん。
娘の暁帆(あきほ)さん(14)は、心身の重い障害で寝たきりです。

(廣中郁子さん)
「長かったですね…。最初に『3年間面会ができませんよ』と聞いていたら、とても持たなかった」
この日は、暁帆さんと約3年ぶりに、直接触れ合う面会ができる日です。
郁子さんは24時間つきっきりで痰(たん)を吸引するなど、暁帆さんが生まれてから6年間自宅で介護してきましたが、過労で倒れ入院。

その後、愛知県豊川市の障害者施設に暁帆さんを預けています。
(廣中郁子さん)
「頑張ったんですけど、私の体がもたなくて。もう私じゃ、この子を安全に育てられないから」
その後も2日に1回は面会に通っていましたが、新型コロナ感染拡大で面会は大幅に制限され、窓ガラス越しでの対面を余儀なくされました。

(廣中郁子さん)
「親と子が自由に会えないって、どういうことかな。仕方ないなって思うんですけど」
我が子と直接触れ合えなくなってから、約3年。
新型コロナ5類移行に伴い、6月から予約の上で短時間ながら直接触れ合える面会が再開されることになりました。
(廣中郁子さん)
「言葉を持たないし語らない子なので、笑顔を直接見て、どこを触ってどんな感じになるのかは、触れ合うから分かる」
待ち焦がれた“その時”を前に、そわそわした様子の郁子さん。
夫の晃夫さんも仕事を切り上げて駆けつけました。

(廣中郁子さん)
「来た!いいね~あきちゃん」
「きょう来たよ、お父さんとお母さん来たよ。会えたね、うれしいね」


(廣中郁子さん)
「これからいっぱい散歩しようね。あ~風が来た。気持ちいいね~」
季節感を味わってほしいと梅雨の雨の中、少しだけ外でお散歩。
移動中の痰(たん)の吸引は欠かせません。

(廣中郁子さん)
「重くなって…」
少しずつ大人になっていく暁帆さん。
(廣中郁子さん)
「またね」
約20分でお別れの時間。

時間制限がなかったコロナ禍前には程遠いですが、触れ合える時間が持てたことは大きな前進です。
(夫・晃夫さん)
「スタッフさんも可愛がってくれて、いろんなところを触ってケアしてくれているので安心はしているが、実際自分たちが触れ合ってこうだよなって感じられるのはうれしい」
(廣中郁子さん)
「外出の機会は作れるよと言ってもらえたので、日帰りで帰るとか、そういうこともできるようにしていきたい。(本当は)もうちょっと(娘と一緒に)いたいね」
