今も日本経済の生命線である「オイルロード」。その歴史を語る上で、70年前の1953年に出光佐三が世界を驚かせた「日章丸事件」は重要な意味を持つ。出光佐三がモデルのベストセラー『海賊とよばれた男』(百田尚樹著)でも、ハイライトの一つとして描かれている。10回シリーズの最終回。(2013年8月30日~同年10月12日に同乗取材)
◆戦勝国の圧力に屈せず

出光グループのタンカー:日章丸が世界を驚かせてから60年が経つ。
出光興産の創業者:出光佐三氏が決断した「日章丸事件」だ。

敗戦から8年後の1953年、当時の二代目・日章丸は、戦勝国イギリスの圧力に屈することなく、イランの原油を日本へと運んだ。
◆石油メジャーへの挑戦

「日章丸事件」として語られる、この歴史的な出来事は、当時、世界の原油を支配していた石油メジャーへの挑戦でもあっただけに、多くの日本人に敗戦の苦しみから立ち上がる力と勇気を与えた。