東京電力は12日、福島第一原発でたまり続ける処理水を海に放出するための設備の「試運転」を始めました。こうした中、10日、県漁連の野崎(※崎はたつさき)会長が、西村経産大臣と会談し、改めて放出に反対する意見を伝えました。

会談の冒頭、固い表情で向き合う西村大臣と野崎会長。先に発言したのは、西村大臣でした。

西村経産大臣「廃炉を進めていくにあたって、ALPS処理水の海洋放出は避けては通れない課題であります。何とかこの廃炉を進めていきながら、みなさん方の漁業の生業を継続・両立していけるように取り組んでいきたい」

そのうえで、西村大臣は、6月末にも予定されているIAEAの報告書をもとに、安全性について、今後も説明していく考えを強調しました。これに対し、野崎会長は…。

県漁連・野崎会長「我々、従来通り海洋放出に関しましては、サブドレンのお約束の一件と、地元で漁業を継続したいという立ち位置から反対という立ち位置をそのまま堅持したいと思います」

反対の意見を改めて伝えた一方で、次のように話しました。

県漁連・野崎会長「我々福島県人でございますので、廃炉の貫徹は望んでいる大きな道筋であります。同じベクトルを向いていると思いますので、今後も様々、協議をしながら、細い道を探っていきたいと思います」

会談は冒頭以外、非公開で行われました。出席者によりますと、今年の夏ごろまでとされる放出の具体的な日程は、示されなかったということです。

会談のあと、野崎会長は、放出にあたり国から、次のような説明があったと話しました。

県漁連・野崎会長「処理水の放出がピークで、収束するという性質のものではないと。処理水が放出されれば、国も注意深くモニタリングをして、処理水がなくなるまで事業を緊張をもって継続していかなければならないと」