故郷を愛する証の“方言”「劣るものがない」
ーーバトラーを務めていらっしゃる王林さんが、彼女ならではの喋り方で演技されています。意図的な演出があるのでしょうか?

「あの役を最初にやるときに『王林さんでやりたいな』と思った中で、これも多様性にも繋がりますが、やはりバトラーは一般的に標準語で話しているイメージがあります。世の中ではそれが当たり前のことかもしれませんが、本作ではそういう先入観が本当に正しいのかを訴えるのがテーマでもありました。彼女が故郷を愛してらっしゃる証である“方言”で話すことを否定するのは間違っていると思いましたし、むしろ劣るものがないと思っています」
「実際に彼女にオファーをしたときに『津軽弁で行けますか』という話が彼女からもあって。僕は『このドラマのメッセージ性としていいな』と思い、『そのまま行ってください』と。実は主演のお2人(福山雅治さん、大泉洋さん)には内緒でやりました。実際に最初の芝居をしたときに津軽弁が出て、お二人とも面食らっていて、『どういうこと?』となったのですが(笑)。でもメッセージを説明したときに、福山さんもすぐに理解していただいて、それを突っ込むとかではなく自然に受け入れる芝居をしてくれました。一つの小さいところですが、メッセージになっているのかなと思っています」
ーーこれまでいろんなドラマがあった中で、少し“違和感”のあるキャラクターが沢山いたと思います。ですが、ドラマにちょっと面白さを与えるために置かれていたポジションに見えていました。『ラストマン』では違いますね。
「やはりドラマは半分はエンターテインメントですから、彼女のキャラクターを生き生きと演じていただきます。ですが、もう半分は『ご本人の思い』があると思っています。今回ですと、やはり福山さん、大泉さんはご本人たちのパーソナルなところも少し加えながら物語にしているイメージです」

「そういう意味では、王林さんは『ものすごく故郷を愛されてらっしゃる』とバラエティーでもよくおっしゃってますけど、だからこそ、この役をそのまま津軽弁で演じることを受け入れてくださって。その上で生き生きと演じてくださってるので、『ご本人の思い』が出てるのかなと思います」
ーーこのドラマを通じて、健常者にはもちろん、視覚障害を持つ方に伝えたいことがありましたら教えてください。
「想像以上のヒーローではあるかもしれないですが、主人公の皆実を通じて、視覚障害の人たちが勇気づけられるとか、でも“普通にかっこいい存在である”ことを伝えていければと思っています」
(TBSレビュー「ラストマン」が描く視覚障害 より抜粋)














