1年間に生まれた子供の数が初めて80万人を切りました。なぜ、子どもの数は減り続けるのか。福岡で取材して見えてきたキーワードは 「お金」と「キャリア」です。
◆「子育て」世代が集まる粕屋町

福岡県粕屋町にある「かすやこども館」。遊具を備えた遊び場やベビーマッサージなどのイベントもあり、平均で毎日120人の親子が訪れます。福岡市内まで電車で10分ほどと都市圏へのアクセスがいい粕屋町は、子育て世代にも人気です。
利用者「遊び場が多いというか、ファミリー層向けのところに住みたいなと」
1人の女性が生涯に産む見込みの子供の数「合計特殊出生率」は1.97と、県内トップクラスでした。それでも人口維持に必要とされる2・06には及びません。国が6月に発表した人口動態統計によると、日本で2022年の1年間に生まれた子供の数は約78万人で、国の推計より約10年前倒しする形で初めて80人万人を切りました。
◆「負担大きい」「キャリアアップは…」子育て世代の不安

国は、新型コロナによる「産み控え」などが要因とみていますが、子育て世代に聞いてみると……。
「負担が大きいのがあるのかな。金銭面や、母親であれば仕事のキャリアアップが難しいな、と実際に子育てして感じたところはあります」「物価も公共料金もだし、保育料も。子供はかわいいですけど、『次はどうかな…』」
国は先週、「異次元の少子化対策」の今後の方針案として、児童手当の所得制限撤廃や支給期間の延長などを示しました。しかし、具体的な財源は示されていません。多くの自治体にとって、人口減少は存続に関わる死活問題。遅い国の対応を尻目に、それぞれが独自の支援策を打ち出している現状があります。
◆古賀市の「うまれてきてくれてありがとうボックス」

RKB原口佳歩「子供を産み、育てやすい環境を作ろうと、福岡県古賀市では独自の取り組みが始まっています」
生後2か月の赤ちゃんがいる家庭を訪れたのは、助産師や保育士の資格を持つ古賀市の職員。市は、出産前から産後約1年まで訪問サービスを行っています。健康状態を確認したり、子育ての悩みを聞いたり。何度利用しても料金はかかりません。
「これが“うまれてきてくれてありがとうボックス~こがたからばこ~”。古賀市からのプレゼントになります。これがお品書きです」
「うれしい! お姉ちゃんの時はなかったから」
赤ちゃんが生まれた家庭に、オムツやお尻拭き、市内の施設で使える3000円分の買物券をプレゼントする取り組みも。
母親「普段使うものをいただけるので、ママとしてはすごくありがたい。どんどん発信して知っていただければ、『じゃあちょっと2人目とか3人目とか頑張ろうかな』という気持ちになる方もいらっしゃるかもしれないですね」
「切れ目ない子育て支援」を目指す古賀市ですが、田辺市長は「金銭的な負担の軽減も大切だ」とした上で、国に苦言を呈します。

田辺一城・古賀市長「案として出てきているものだけでは不十分だと、率直に自治体の長としては思っています。18歳までの子供の医療費の無償化については、政府にはしっかりと決断をして、導入を実現してほしい。市町村が競争のようにやっていく話じゃないと思っています」














