政府が方針案を提示した「異次元の少子化対策」。

その「目玉」と位置づけられている「児童手当の拡充」を巡り、賛否の声があがっています。

(岸田文雄総理:6月1日)
「わが国の子ども子育て関係予算は、子ども1人当たりの家族関係支出で見て、OECDトップ水準のスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進することとなる」

政府が6月1日に発表した「異次元の少子化対策」の“方針案”。

予算規模は3兆円半ばで、中でも目玉とされているのが「児童手当の拡充」です。


一定の所得がある家庭に給付されなかった児童手当について、所得制限を撤廃。

給付の対象も高校生にまで拡充するなどとしていて、これらを「2024年度中に実施できるよう検討」するとしています。

(大学生と中学生の母親)
「ありがたい。習い事など値上がりしているので、そちらにあてようかと」
(小学生3人の母親)
「所得制限が撤廃されるのは助かる。子育てには、かなりお金がかかるので」

しかし、SNS上では…。

「扶養から外れるなら赤字ですよ」
「『扶養控除に手をつけるかも』って言われたら誰も不安がって子ども産まないよ」
「増税と同じじゃないの?」


政府が児童手当を拡充する一方で「扶養控除」については撤廃や縮小など見直しを示唆したため、反発の声が上がっているのです。

現在、16歳から18歳の子ども1人につき38万円が控除されますが、今後、児童手当として高校生が月1万円、年間12万円をもらう場合、政府は「手当」と「控除」の二重補助にならないよう、控除分の廃止や縮小を検討しているのです。


(FPmama Friends ファイナンシャルプランナー 柴田時子さん)
「(児童手当が)年間12万円入ってくるけど、控除額が減ることで税金の方が負担が増えるということなので、異次元の少子化対策とはとらえられない」


こちらは、自身も高校生の子どもがいるファイナンシャルプランナーの柴田さんが、扶養控除がなくなった場合を試算したもの。

名古屋市に住む40代夫婦と高校生の3人家族の想定です。

母親と高校生が扶養されている年収400万円の世帯の場合、年間で所得税と住民税が合わせて5万3500円増えます。

児童手当を年間12万円受け取り、増えた税金を差し引いた実質的な手当の額は、年間6万6500円、ひと月あたり5542円に。

年収900万円で試算すると、税金が11万8000円増えて、実質手当は月額わずか167円。

年収1000万円以上の世帯は児童手当をもらっても、実質マイナスとなる可能性もあるのです。

(FPmama Friends ファイナンシャルプランナー 柴田時子さん)
「(実質手当が167円だと)コーヒー1杯買ったら終わり。目に見えたお金は増えているけど、目に見えないお金で減らされてる感じがすごくして。私も試算表を作ってびっくりした」


同じくファイナンシャルプランナーで、小・中学生3人の娘がいる母親は。

(小・中学生3人の母親 渋谷愛未さん)
「最初は、やったーという気持ち。一方で扶養控除が無くなると聞くと、不安になった。目先のお金のことだけ考えていると感じられる。今後、長い目でみた試算ができないと、一喜一憂してしまうんじゃないか」

街の人も。


(小学生3人の母親)
「(試算表を見ると)衝撃ですね。喜べない」

(高校生の母親)
「扶養控除を廃止するくらいなら児童手当拡充はやってくれなくていい。児童手当をあげておいて、もっと税金をとるなんて、そんなの対策じゃない」

少子化に歯止めをかけることにつながるのか、さらなる議論が必要です。