コロナ禍でアウトドアが人気となる中、釣りの世界では「釣りガール」と呼ばれる釣りをする女性に熱い視線が注がれている。釣りガールで広がる新たな市場の動きを取材した。

女性の参入で活気づく釣り業界。においナシのエサ開発も

コロナ禍で密を避けられると盛り上がりを見せたキャンプなどのアウトドア業界。釣りもその中で脚光を浴びたレジャーの一つだ。

釣り用品の国内出荷規模はこの10年ほどは上向きに推移し、23年は1800億円に達すると予想され、市場は活気づいている。右肩上がりの市場を後押ししているのが釣りガールと呼ばれる女性の存在だ。

女性限定の釣り船イベントでは、竿やエサなどの道具はレンタルすることができるため、誰でも気軽に釣りを楽しめる。船には釣りをサポートするスタッフも乗り込むため、初心者でも安心だ。イベントを企画したボランティア団体「つりジェンヌ」のオブザーバー、今井寿美礼氏は、女性限定の釣り船の狙いを「女性が釣りをするのに快適な環境、マナーやルールを発信していきながら、応援しつつ女性の釣り人を増やすことを目指して動います」と話す。募集をかけるとすぐにキャンセル待ちになることが多いという。

5年前に誕生した女性のためのコミュニティーサイト「FUNC」は、女性目線の釣りのファッションや全国の最新釣り情報などを発信している。現在では60人近くの女性が公式インフルエンサーとして籍を置き、サイトのアクセス数も年々右肩上がりに増えているという。

釣り業界の中には、女性目線の商品作りがヒットにつながったケースもあった。埼玉県桶川市に工場を構えるマルキユーは400種類以上の釣りエサを製造する業界トップシェアの老舗企業だ。

2017年に発売された「アミ姫」はアミエビというプランクトンを加工した釣りエサで、目標の3倍の売り上げを達成し、社内で一、二を争う人気商品だという。開発の上で特にこだわったのが、エサのにおいだ。釣りエサ特有のにおいが全くしない商品で、開発したのは各部署の女性社員が集まったプロジェクトチームだ。

マルキユー株式会社 貿易管理課 木下純子氏:
20種類ぐらいの香りを研究開発課で集めてもらい、そのにおいを嗅ぎながら、どれが一番アミエビの臭さを隠すことができるかをみんなで試して、一番いい香りを選びました。

従来の冷凍アミエビではカゴの中へ詰めるときに、手が汚れてにおいがついてしまうケースもあった。そこで、手を汚さずに詰められるチューブ式のパッケージを採用。使いやすさを追求し、初心者や女性から支持されたという。