◆公式見解の要点は「4つのNO」
事務所が発表した文書を、私は何度も読み直しました。その要点は4つあると思います。①記者会見はしない、②事実認定をしていない、つまり性加害をきっちりとは認知していない、③第三者委員会の設置を否定している。その理由は、現および元所属タレントを守るためだというふうに言っていますが、私から見れば事務所の保身ではないかという疑いを捨てきれません。④経営陣の引責辞任に関しても否定。
つまり「4つのNO」ですね。記者会見はしない、事実認定をしない、第三者委員会は設置しない、引責辞任もしない、と。これで納得する人がいるでしょうか?
◆これは日本社会全体が抱える膿
私は、今回の疑惑を放置することは、ジャニーズ事務所だけの問題じゃないと思っています。一番の弊害は、今回の報道やマスコミの有り様を見た子供たちが、もし性犯罪・性暴力の被害者になったとき、「声を上げても無駄だ」という諦めの気持ちになるかもしれないことです。疑惑を放置することで、社会全体が諦めの気持ちを子供たちに植え付けかねないのではと怖れを感じています。
メディア、広告業界、芸能界だけでなく、みんながこの問題を直視しない限り、性加害や性暴力は、この先もなくならないでしょう。音楽業界に身を置く私も正直つらいです。ましてや、こういう世界に憧れたことがある、あるいは憧れている家族がいる、といった人たちも胸を痛めているはずです。
私たち一人一人が、この国が抱える問題として当事者意識を持ち、みんなで膿を出すというところに、舵を切るべきじゃないでしょうか。
音楽業界、芸能界で仕事をしている私が今、ここでこういう発言をしていることの意味について、察していただければと思います。ジャニーズ事務所のタレントと直接連絡を取ることもある立場にいます。彼らと番組で共演する機会も多いことをご存知の方もいるでしょう。私はタレントを守りたい。その立場でお話しさせていただきました。














