2年前のクーデターで実権を握ったミャンマーの軍事政権が、これまで融和的な姿勢を保ってきた隣国・タイでの政権交代を警戒、監視や情報収集を強化するよう指示を出したと独立系メディアが伝えました。

ミャンマーの独立系メディア「イラワジ」は22日、「軍のソー・ウィン副司令官がタイの情報収集や国境周辺の監視を強化するよう指示を出した」と報じました。

事実上の軍政が続くタイはミャンマー軍に対し融和的な姿勢を保っていますが、14日の総選挙で反軍政を掲げる革新系野党「前進党」が第1党となったことから、ミャンマー軍としては政権交代による外交方針の転換を警戒しているということです。

「イラワジ」はミャンマーのソー・ウィン副司令官が「前進党は西側諸国に近い」とのメッセージを出した上で、軍に抵抗する民主派勢力などを「支援するだろう」と危機感を示した伝えています。

一方、ミャンマーの人権状況を調査する国連のアンドリュース特別報告者は17日に公表した報告書で、ミャンマー軍がおととし2月のクーデター以降、ロシアや中国など5か国から少なくとも10億ドル=日本円で13億8000万円相当の戦闘機や武器、関連物資を輸入していたと指摘しました。ロシア・中国・インドの取引業者には、国営企業も含まれるということです。

アンドリュース特別報告者は、「供給された武器の一部は民間人への攻撃にも使用されている」と非難したうえで国際社会に対し、武器の流入を止めるよう訴えています。