東京電力福島第一原発で放射性物質を含む処理水を海に放出する計画をめぐって、韓国の専門家でつくる視察団が23日、原発構内を視察しました。異例ともいえる視察団の様子をカメラが捉えました。

水津邦治アナウンサー「午前9時35分、視察団とみられるバスが廃炉資料館に到着しました」

午前9時半すぎ、福島県富岡町の廃炉資料館に到着した1台のバス。乗っていたのは、韓国の専門家で作る視察団です。外から中の様子がわからないように、窓はカーテンで閉ざされています。

バスを乗り換えて、原発へと向かう予定でしたが…。カメラに気付いたのか、バスを移動させました。

視察団はこのあと、福島第一原発へと向かいました。処理水の放出設備などを確認したとみられます。

韓国政府によりますと、視察団は原子力安全委員会の委員長を団長とし、原発施設や放射線分野の専門家21人で構成されています。

視察団は22日、東京で日本政府や東京電力の関係者と協議を行い、視察する設備などについて、説明を受けたということです。

原発にたまり続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水。政府と東電は、今年の夏ごろまでに、海に放出する方針です。

韓国国内では5月も、ソウル中心部で、放出に反対するデモが行われるなど、懸念の声は根強く残っています。こうした中、日韓両政府は、5月7日の首脳会談で、福島第一原発に韓国の専門家を派遣することで合意しました。今回の視察について、西村経済産業大臣は…。

西村経産大臣「韓国国内におけるアルプス処理水海洋放出の安全性について、理解が深まることを期待しております」

視察団は24日までの日程で処理水の保管状況や分析結果、そして設備などを確認することにしています。