シリーズSDGsです。近年、瀬戸内海で天然の魚の漁獲量が減少傾向にあるなか、資源を守るための新たな漁業のかたちです。瀬戸内海で岡山県の夫婦が取り組む「完全受注漁」とは?
網から上がってきたのは、生きのいいマダイ。そして、高級魚のハモにカレイなど、どれも瀬戸内でとれる自慢の魚たちです。
記者
「こちら、お刺身にしたら美味しそうな立派なサイズのマダイなのですが、海に返しちゃって大丈夫なんですか?」
富永邦彦さん
「きょうは十分に魚がとれたので、必要以上にとれたときは海に逃がします」
WEBで注文を受けた分だけの魚をとる、新たな漁のかたち「完全受注漁」です。
岡山県玉野市の胸上漁協で、底引き網漁を行う富永邦彦さんです。この日、一度の漁でとれたマダイは16匹。このうち、受注した量より余分にとれた6匹を再び海へとリリースしました。一見すると、「もったいない」と感じるかも知れませんが…
富永邦彦さん
「(顧客からは)今の時代に合った食品ロスの防止であったり、『自分たちもこうやって自然界に貢献できるんだ』という声はいただいています」
富永さんは去年から市場への出荷をやめ、個別注文のみに対応する「完全受注漁」を始めました。これまでと比べ、全体の漁獲量は3分の1程度に減ったものの、仲卸を通さない消費者との直接取引により魚の単価が上がり、結果、これまでの収入を維持できているといいます。
富永邦彦さん
「『もうかる漁業が持続可能な漁業』と思っていましたが、水揚げも減ってきたことで、『未来に残すことが持続可能な漁業』と思うように。思いのほか、実際にお客さんからの注文がずっとあるので、こういうニーズもあるんだなって実感しました」
人気の秘密は「新鮮な魚」。漁から港に戻ると、妻の美保さんとすぐに魚の鮮度を保つ処理を行い、その日のうちに全国の顧客のもとへと発送します。
富永美保さん
「スーパーとあまり変わらない値段で、エンドユーザーさんに届くように。直送なので、新鮮な魚をスーパーと同程度の価格で買うことができるのはメリット」
富永さんはかつて多くの魚をとるために一度、海に出たら、14時間近く漁をしていました。しかし、完全受注漁を始めて、必要以上に魚をとることがなくなり、漁の時間は6時間程度・半分以下まで減りました。
富永邦彦さん
「以前はずっと沖にいて、帰ってごはん食べてお風呂に入って寝るだけ。休みの日も結局、仕事のことばかり」
漁の時間が減ったことで、今では日中にプライベートの時間も持てるようになりました。
富永邦彦さん
「公園に行くようなことはなかったので、(完全受注漁は)海にも優しい、家庭にも優しい、家族にも優しい」
富永美保さん
「顔つきが変わりました。すごく穏やかな表情で優しくなって、子どもたちもうれしがっています」
海の資源を守るだけでなく、漁師としての働き方も変えた「完全受注漁」。新たな漁のかたちとして今後、注目が集まりそうです。
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