いわゆる「袴田事件」の第2次再審請求で、2014年、再審開始と袴田巖さんの釈放を決めた静岡地方裁判所元裁判長の村山浩昭さん。2021年に退官しましたが、再審決定の裏側については口を閉ざしてきました。しかし袴田さんとの対面を果たした5月19日、村山さんは再審に臨む裁判官の心境を赤裸々に語りました。
<村山浩昭 静岡地裁元裁判長>
「後でどういう批判を受けようとも、私たちとしては釈放するしかないという結論になった」
9年の時を経て、村山元裁判長は初めて「袴田事件」に触れた時の心境を語りました。
<村山浩昭元裁判長>
「誰がこの判決を書いたかということで信用してはいけない。どのような有名な裁判官でも、間違う時は間違う。そういう思いがあったので、(袴田事件にも)いろんな有名な方が関わっているんだけど、正直に言うと確定審の判決は違法な判決です」
再審とは先輩の裁判官が下した判決は間違っていたと覆す行為。村山さんは純粋に事件の証拠だけに目を向けたと振り返りました。
袴田さんの死刑判決の決め手とされてきた“重大証拠”「5点の衣類」。一度は捜索を尽くしたはずの現場から1年2か月後に発見され、袴田さんが実際に履くと小さくて太ももまでしか履けなかった疑惑の証拠でもあります。村山さんは「5点の衣類」は袴田さんのものでなく、捜査機関によるねつ造の可能性があるとまで言及しました。
<村山浩昭元裁判長>
「(過去の裁判で)履けないズボンを何回も履かせている。どういうことかというと、関わった裁判官がみんな迷っている。5点の衣類だけがなぜか脚光を浴びていて、これで正否が決まる状況。常識論としてねつ造しかないと思った」
袴田さんの再審をめぐっては村山さんの決定に対し、検察側が不服を申し立てる抗告をしたため、その後も審理が継続し、2023年3月の再審開始確定まで9年の時を費やしました。
<村山浩昭元裁判長>
「東京高裁の即時抗告審が長引いているのは気になっていて、ただ正直言って(請求棄却)決定を聞いて、まず率直に驚いた。袴田さんとひで子さんに申し訳ないと思った。どうしてもう少しつけ入る隙のないような決定が書けなかったのかと」
9年の時を経て語り始めた元裁判長。袴田さんのやり直し裁判は村山さんが再審開始決定を出した静岡地裁で行われますが、日程はまだ決まっていません。
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