◆カスハラは「警告」30分で打ち切りも想定

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福岡県警によると、去年12月に警部以下にアンケートを実施、約1万件の回答を得た。妥当性がない要求に業務時間が奪われケースは少なくなく、現に職員の勤務環境が害されているという。今後、カスハラに対しては状況に応じてその場で対応を打ち切る、警告するなどの毅然とした対応をとる。現場対応や電話は30分、窓口は1時間ほどを目安にしているという。

それでもなお、市民が「カスハラ」の可能性がある行動を続ける場合は「組織的な対応」を行うことにしている。また、実効性を担保するために、2023年度中にすべての警察署に通話録音装置を整備することにしている。録音装置はもともと配備予定だったものをカスハラ対策にも活用する。


◆警察組織では「全国初」事業主の対策

福岡県警本部


厚労省の企業調査(2020年)では、全国の6426企業のうち「顧客からの著しい迷惑行為を受けた」と回答した企業は19.5%に上った。パワハラ、セクハラに次いで割合が多く、増加傾向だという。カスハラは、従業員のパフォーマンスの低下や休職、退職の理由になるほか、企業も時間の浪費により業務に支障をきたすことになる。事業主が従業員を守るためのカスハラ対策は時代の要請だ。任天堂は去年10月に保証規定に“カスハラ項目”を盛り込み話題になった。百貨店の高島屋や公共交通機関のJR西日本をはじめ「対策」を明確化した上で対外的に公表する企業がこのところ相次いでいる。

福岡県警は、警察組織でその先陣を切った。とはいえ、市民はカスタマー(顧客、得意先、取引先の意味)なのだろうかというわだかまりは残る。