5月8日から新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行されました。それにより感染対策が個人の判断に任されるようになった今、病院ではどのような変化が起きているのでしょうか?

受付のビニールシート撤廃 防護服・医療マスクは緊急時のみ

発熱外来としてコロナ患者の対応にあたってきた
いとう王子神谷内科外科クリニックでは・・・

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
8日以降受付のビニールシートを外し、パーテーションを模様替えして我々も普段マスクをせず、診療のときはマスク1枚で行動しようとフットワークを軽くしています。そして発熱患者の受け入れを午後に限定し、がん検診などに重点を置く方針です。

恵俊彰:
大きな変化ですか?

伊藤院長:
大きいですね、やっぱり長かったですから。ずっと患者さんを少し隔絶したような状況もあったと思うんです。やっと一部の医療機関だけでコロナを診る時代じゃなくなったわけですから、肩の荷を下ろすような気持ちになって、本来の医療を取り戻すときなのかなと思います。

しかし5類移行で新たな悩みも・・・

新型コロナの検査は本人判断 無料だった検査や医療費は自己負担が発生

5月8日 いとう王子神谷内科外科クリニックに、咳の症状がある患者が診察に来ました。

伊藤院長:
今まではこの検査は公費で無料だったんですけどどうしますか?これまでならすぐ検査するところですが・・・

咳の症状がある患者:
今回熱が出ていないがその場合どうしたらいいですか?コロナの可能性が高いのであれば検査したいがそうでなければしなくてもいいのかなと。

伊藤院長:
無料ではないのでお気持ち次第というところがあります。
必要か?必要じゃないか?と言われたらやるにこしたことはないですけど、
キリがないというところもあるので、必要じゃないとも言えないし難しいです。

検査料‟自己負担” 個々で選ぶ時代に

5月8日 いとう王子神谷内科外科クリニックではコロナ感染の兆候がある患者15人が来院。検査を受けた患者が8人いました。そのうち、抗原検査が4人、PCR検査が3人。抗原検査とPCR両方を受けた方が1人ということで半分の方は検査をそもそも受けないという判断をしています。

恵俊彰:
ここも大きな変化ですね。

伊藤院長:
検査が自己負担になるということで、患者さんがそれぞれ考えて検査を選ぶ時代になってきたんだなと思いました。
例えばPCR検査を単独を選ぶ人は、実はあまり予測してなかったんですよね。
PCR検査の方が高いですし、結果出るまで時間がかかるので抗原検査だけを希望する人が多いんじゃないかと思ってたんですけど、やっぱり正しい診断を一発で決めてほしいと。
特に40代50代ぐらいの方で家族や会社あるいは社会のことを考えて真実を知りたいんだと言ってPCR1本でいく人がいたりとか。人それぞれ考え方があるということに驚かされました。

恵俊彰:
そうですね。だから先生の対応も、「検査をしたければどうぞ。したくなければ無理にはしない」と、診療も変わってくるわけですもんね。

伊藤院長:
お金も変わってきますしアプローチの仕方によって検査の感度も変わってきます。ですからそこは丁寧に説明をする必要があるかなというふうに考えて診療にあたりました。

恵俊彰:
そう考えると診療の時間として今までよりもひょっとしたら時間がかかるかもしれませんね。

伊藤院長:
そうですね、検査まではワンクッション時間かかるんですけどその代わり検査を受ける方の過剰な検査が減るので、念のために無料ならやっときますというPCRが減ったので。
トータルで見ても1人頭の時間は減りました。

恵俊彰:
5類に移行して先生としてはどういうところを期待なさってますか?

伊藤院長:
基本的に法律の改正は非常に大きくて、どこの医療機関でも基本的には断りにくくなるはずなんです。応召義務がありますから。今まで、結構遠くの区から来る患者さんとか結構たくさんいたんですけど、やはり本来身近なお医者さんに診てもらいたい、あるいはかかりつけのお医者さんに発熱でも診てもらいたいという患者さんの思いが徐々に(医療を)変えられるようになってくれば、通常の医療の姿に戻っていくのかなと。そういう社会の変化と、医療の変化に期待をしたいと思っています。

(ひるおび 2023年5月9日放送より)