4年ぶりにコロナ対策の制限がない大型連休を迎え、各地の観光地は賑わいを見せている。その一方、長引くコロナ禍で職場を離れた人も多く、宿泊施設などを中心に人手不足が深刻になっている。
人手不足の事態打開に「おてつたび」。旅先=アルバイト先は全国970か所
最大9連休のゴールデンウィークで、多くの観光地はコロナ禍前の活況を取り戻している。本格的な消費の戻りに安堵する一方、深刻なのが人手不足だ。特に深刻なのが、旅館やホテルだ。富山県朝日町にある旅館「ホテルおがわ」。コロナ禍に5か月間休館したのを機に、50人近くいた従業員の約半数が退職した。その後も、従業員の数は戻っていない。51部屋ある客室も稼働しているのは29部屋。今も月に4日休館日を設けるなど、機会損失も甚大だ。

ホテルおがわ総務経理部 松原綾子氏:
今いるスタッフでできる限りの客室数で。お部屋を使わないで遊ばせています。
深刻な事態を打開しようと、新たなサービスの利用を始めた。旅行業界大手のJTBによると、4月25日から5月5日で1泊以上の国内旅行を予定している人は2450万人で、前年の1.5倍以上になり、1969年の調査開始以来最多だ。その一方で深刻なのが人手不足だ。ホテルおがわは2022年、人手不足の事業者と旅先でアルバイトを希望する人と橋渡しするサービス「おてつたび」の利用を始めた。
ホテルおがわ 松原綾子氏:
おてつたびに来ていただいて、一時的な人手不足の解消だけが目的ではないのですが、実際お越しになるおてつたびのスタッフに助けていただいていることは大いにあります。

三重県在住で、これまで何度かおてつたびを利用している加藤晴香さんはゴールデンウィーク期間中の4月29日から5月6日まで、おてつたびを利用し、ホテルおがわで働いている。取材当日は朝7時から10時30分まで、朝食の配膳やお見送りなど、チェックアウト業務を手伝った。その後は7時間の自由時間だ。ホテル近くのダムなど興味のある周辺を観光した。夜は5時30分から10時まで、夕食の準備、配膳をする。宿泊する部屋はホテルが用意し、さらに昼食と夕食も提供されるので、宿泊代と食事代を浮かした上で、1週間で4万円の報酬をもらえる。
加藤晴香さん:
観光をしつつ、宿の仕事にちょっと興味があったので、それを体験できるのがすごく良くて、旅を楽しむ時間を作ってもらっているので、ゆったり楽しみつつリフレッシュできてすごくいいです。
ホテルおがわではこれまで50人以上のおてつたびのスタッフを迎え、接客業務や食事の配膳などをしてもらっている。高校生を除く18歳以上なら誰でも無料で利用できるサービス、おてつたびを4年前に始めたという企業に話を聞いた。

おてつたび 永岡里菜代表取締役:
現在おてつたび先としては全国に970か所あり、コロナ前後で約3倍ぐらい登録者数も増えていて、登録者は今3万5000人になっています。
登録する事業者と参加者がマッチングしたときに、事業者から手数料を受け取る事業モデル。そもそも、過疎化が進む地域の魅力を知ってもらい、地域創生につながればと始めたが、気が付けば人手不足の課題解決に貢献するようになっていた。
おてつたび 永岡里菜氏:
私達は誰かにとって特別な地域をつくるというのをミッションに掲げてやっていて、おてつたび先に就職された方、おてつたび先の地域に移住定住された方、地域に1回行ってみて自分の居場所ができたときに、もっとこの地域で関わってみたいという方が増えている。
おてつたびの2023年ゴールデンウィーク期間中の求人件数は22年の約1.6倍に増えたといい、今後ますます人手不足の解消に貢献しそうだ。