7日までのゴールデンウィークは各地で混雑しましたが、福島県相馬市の「浜の駅松川浦」もその1つです。多い日で8000人が訪れましたが、そのお客さんたちを見送ってきた名物店長が、8日、最後の日を迎えました。

雨が降りしきるどんよりとした天気の中、浜の駅で働くこの人は心なしかすっきりとした表情に見えました。

「アサリとノリが松川浦ではとれる。ノリ漁師がアサリをとっている。」

店長の常世田隆(とこよだ・たかし)さんです。常世田さんは、30年間働いていた東京の外資系金融機関を8年前に早期退職して、福島県内の復興に携わり、3年前からは、オープン当初から、浜の駅の店長を務めてきました。

そんな常世田さん、8日をもって店長を退職します。

浜の駅松川浦・常世田隆店長「今家族は埼玉、僕は相馬。(二重生活で)今ここで働けば働くほど赤字になってしまう。家族一緒に住めて、移住者に助成を出してくれる所に移らざるを得ないのが理由」

浜の駅松川浦の同僚「(常世田さんは)最初からずっとがむしゃらに頑張っていて、一緒に私たちもついてきたのでさみしい」

店長を務めた3年間は、苦難の連続でした。おととし2月、そして去年の3月には相次いで震度6強の揺れに見舞われ、その度に営業休止に追い込まれました。それでも続けてこられたのは「来てくれるお客さんがいたから」だと常世田さんは話します。

常世田店長「地震の翌日に『臨時休業です』と貼ってあっても来られるお客さんがいた。やっぱりそれは僕ら自身もモチベーション高くなりますよね」

常世田さんは今後も県内に残り、復興を支援する仕事を続けたいと次の目標に向かいます。

常世田店長「僕が思うのは相馬はもはや『震災後』ではない。他の12市町村はまだまだ『震災後』というイメージが強く残っている所もあるので、そこから脱却していかないといけない。そのお手伝いをしていきたい」