岩手県二戸市浄法寺町の天台寺で5日、9年ぶりに春の例大祭が行われ、かつて青空法話で祭典を盛り上げた瀬戸内寂聴さんの秘書を務めた瀬尾まなほさんが講演しました。

 天台寺の春の例大祭は、本堂の修繕工事や新型コロナの影響で2014年を最後に開催されてこなかったため、9年ぶりのにぎわいです。寺の所蔵庫では5日、寺の修繕のために1577年に記された寄付を募る文書・「紙本墨書天台寺本堂再興勧進帳」が一般公開され、訪れた人は貴重な資料に見入っていました。

 そして春の例大祭を締めくくったのは…。

(瀬尾まなほさん)
「みなさんこんにちは。瀬戸内寂聴の秘書を務めておりました、瀬尾まなほと申します」

 1987年に天台寺の住職となり、青空法話で祭典を盛り上げた作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんがおととし亡くなるまで秘書を務めた瀬尾まなほさんの講演です。寂聴さんと天台寺を訪れた際の思い出を語りました。

(瀬尾さん)
「瀬戸内が天台寺の法話のでしゃべっている時に、『しめた!』と思って私は台所でご飯を食べていた。瀬戸内は一生懸命ここで働いているのに、私は食べていた」

 ユーモアたっぷりに思い出を語り会場を沸かせました。

(瀬尾さん)
「もし瀬戸内が生きていて、私がピンチヒッターで法話をしていたとしたら、きっと私はこの後すぐ瀬戸内に電話して、『話したよ。みなさん聞いてくれたよ』と言って、『よかったね。あんたやるやん。今度からあんたにしゃべってもらおうかな』という感じで言ってくれるのではないかな。私ができる限りのことは皆さんの前でお話ししたり、書いたりして続けていきたい」

(講演を聞いた女性)
「寂聴先生に、『自分なんか…って言わないのよ』と言ってもらったという話が印象的で、まなほさんが先生に言ってもらったみたいに自分のことを肯定できるのは自分だけだなと思った。話を聞いてよかった」

 訪れた人は、寂聴さんを彷彿とさせるユーモアを交えた瀬尾さんの講演に活力をもらっていました。