小学4年の女の子が作文や詩などを創作し、これまでに50の賞を受賞した。AI=人工知能が席巻する中、「複雑な気持ちが表せる」と自分でペンを取る魅力を語る。相棒は類語辞典。幼い感性を大切にしながらひとつひとつの「言葉」を紡ぐ。
◆3か月間のコロナ休校がきかっけだった

福岡県北九州市に住む能美になさん(9)の家には数々の賞状が飾られている。初めての受賞は2歳だった。「祖母と母と3人で五七五の遊びをしていたときに、私がぽんとやったのをお母さんが出してくれました」と話すになさん。
初の受賞作「さくらさく はやくいきたい ようちえん」

遊びの一環で俳句を詠み、小学1年になると本格的に創作活動を始めた。新型コロナの影響で入学式が延期、そのまま休校が続き7月まで学校に行けなかったことがきっかけだった―。になさんの才能はすぐに開花。小学1年で書いた作文はJAXAが主催する「宇宙の日記念作文絵画コンテスト」でグランプリを受賞した。

になさん「ムーンカプセルという物語で50年後の宇宙生活がテーマです。おばあちゃんがひざを痛がっていました。お母さんが月は重力が地球の6分の1と教えてくれたので月の重力をこっちに持ってきてカプセルでためて膝にあてたらいいと思い書きました」
◆大人顔負け?経験を体系化する思考法

文章は単語を書き出して発想を広げる「イメージマップ」の思考法で生み出しているという。になさんが実際に記したイメージマップには、ある休日のできごとが落とし込まれていた。この日は、母に代わって一日、料理や掃除をした日だという。洗濯、ご飯、目玉焼き、瓦そばづくりなどが並ぶ。文字に起こして視覚化し、頭の中でその日の経験を整理した上で「起承転結で書く」というから大人顔負けだ。ひとつひとつの「言葉」も大切にしている。になさんの机には努力の証があった。

になさん「辞典の知っている言葉にふせんをつけ1000を超えました。一番使っているのが類語辞典です。気持ちを表すのが苦手なので『嬉しい』は『喜ばしい』とか『めでたい』とかも使います」














