北九州市門司区にある1軒の酒店が先月、惜しまれながら閉店しました。地元の人に愛され100年の歴史に幕を下ろした「角打ち」を、カメラマンがリポートします。

◆100年前の撮影写真

1923年、今からちょうど100年前に撮られた写真です。有次水夫(ありつぐ・みずお)さん・サカエさん夫婦が始めた小さな酒屋、名前は有次酒店。それから一世紀もの間、お店はここ門司の人達の居場所で在り続けた。

◆北九州は角打ちの聖地

店内の一角で立ち飲みする角打ちスタイル。文化発祥といわれる北九州は角打ちの聖地です。

「ここはね、みんなが1日元気かなっていう集まり」「老人クラブ」

戦後、街に賑わいがあった頃、門司にも多くの角打ちが軒を連ねた。しかし、時代の流れとともに減少し、今では数えるほどしか残っていない。お客さんは常連さんが多い。一度来ると、ハマってしまうらしい。

◆「100年までは…」

この女性とワンちゃんも常連。

常連客・良子さん「すごいお客さんがフレンドリーで優しくて、話しやすい。それからもう毎日。角打ちは何軒かあるかもしれんけど、お客さんとこんなに仲良くなるとこない。寂しい、行くとこがないです」

4代目の河内美菜子(かわち・みなこ)さん「3年前に、母ががんで3ヶ月で亡くなってしまったんですね」

後継者がいなかった店を急きょ引き受けることになった。

河内美菜子さん「100周年っていうのは母がこだわっていたので。100までは、100まではっていうのがあったんでね。あと3年、とりあえず頑張ってみようかなって、無事に100周年を迎えられてほっとしてます」