長年選挙報道に携わっているCBCテレビ論説室長が3つの視点で地元結果を分析します。
視点3は、名古屋と岐阜・多治見を支持政党別に比較します。
視点1はこちら。
視点2はこちら。
県議選で比較 自民党支持層に注目
最後に、同じ県議選で、名古屋市(千種区・東区・中川区)と岐阜市・多治見市について、支持政党別の比較をしてみます。上が名古屋、下が岐阜・多治見の期日前と当日出口調査の総計です。
それぞれの候補者について、公認候補に加え、無所属候補も実態に即して国政の与党系と野党系とし、減税日本の候補者は地域政党候補としました。


市議選より定数の限られた県議選ですので、自民党以外は、選挙区によって候補者を出していない政党がありますが、一見して、自民党の与党候補者への投票が、岐阜市・多治見市では87%なのに比べ、名古屋市では67%と20ポイント低いのが目に付きます。
また、支持政党なし層についても、与党候補への投票が、岐阜市・多治見市では51%なのに比べて名古屋市では34%にとどまりました。
視点1「減税VS維新 減税の勝因は(名古屋市議選)」で見たように、名古屋市の有権者で減税日本を支持するかたが一定数いらっしゃるのも理由ですが、名古屋市と岐阜市・多治見市では自民支持層、支持なし層の動向は明らかに異なります。
名古屋市議選では
同じような分析を名古屋市議選でもやってみました。

そうすると、
地域に根ざした選挙を実感
ここまで記したように、支持政党と実際の投票行動は必ずしも一致はしません。
その中には、多治見市の県議選で見られたような候補者の行動に関する評価も批判もありますが、上の発言に見られるように、支持政党よりも地域と候補者の繋がりを大切にする地方選ならではの要素もあるように感じました。
これは、長年培われた、候補者への地域の信頼感のあらわれと言えるのかもしれません。
さらに、視点1「減税VS維新 減税の勝因は(名古屋市議選)」で見たように、名古屋市では河村市長に対する、一部のかたの強い支持も見られました。これも地域に根ざした地方選だからこそと言えるのかもしれません。
まとめ:「投票」の大切さ
これまでの分析で見えてきた有権者の声、それに地域の繋がりや地域ならではの特性も踏まえ、今後なにかしら参考にすべきことはあるのでしょうか。
まずは、今回の出口調査にも見られたような有権者の声も受けて、当選した議員の皆さんに地域のために存分に活躍していただき、その姿をもとに、次の選択の機会に一票を投じることで有権者の意思を表明していく、これが基本的な姿だと思います。
この点で気になるのは、今回の投票率の低さです。県議選の投票率で見ますと、愛知で35.10%、岐阜で41.60%、41.52%と、前回をほんの少し上回った岐阜(プラス0.05ポイント)を除いて、前回より下落してしまった(愛知でマイナス1.91ポイント、三重でマイナス7.43ポイント)ことです。
さらに無投票の選挙区がかなりあった(県議選、愛知で24、岐阜17、三重7選挙区)ことも気になりました。
有権者にもっと身近な地方選で投票することの大切さを実感すると同時に、投票する=選択する機会があること、の大切さを改めて感じました。
解散論について
気の早い向きには、今回の統一地方選で自民が比較的堅調だったこと、それに4月23日の後半戦と同じ日に投票が行われた5つの国政選挙補欠選挙で与党4勝1敗だった結果だけを見て(辛勝のケースもありました)、次期総選挙が早そうだとする見方もあります。
もちろん解散は、総理の判断ひとつですからほんとうの意味での予測はできませんし、今回の限られた、それも地方選の出口調査から結論を導き出すことはなおさらできません。
ただし、種々の地方ならではの事情があるとはいえ、少なくとも、
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