福島第一原発の処理水を保管しているタンクが満杯になる時期について、東京電力は「今年の秋」としていた見通しを「来年2月~6月」に見直しました。

福島第一原発では、雨水が流れ込むなどして発生する汚染水から、大半の放射性物質を取り除いた「処理水」が増え続けていて、保管しているおよそ1000基のタンクは、これまで今年の秋にも満杯になるとされてきました。

東京電力は、27日の会見で、昨年度は雨の量が少なく雨水の対策も進んだことで、汚染水の発生量が想定を下回ったとして、満杯になる時期を「今年の秋」から「来年2月~6月」に見直したと発表しました。

【解説】
今回、満杯となる時期が見直された大きな要因は、処理水の元となる汚染水の発生が抑えられたことです。

福島第一原発では、溶け落ちた核燃料「燃料デブリ」に触れた汚染水が日々発生しています。これが昨年度は想定よりも減りました。主な理由として、東京電力は、雨の量が少なかったことと、雨水が流れ込むのを防ぐ対策が進んだことを挙げています。

このため昨年度、1日あたりに発生した処理水は90トンとこれまでで、最も少なくなり、タンクの容量にも余裕ができました。

一方で、処理水を海に放出する時期について、東電の廃炉作業の最高責任者は27日、「処理水の処分は先送りできない課題と認識している」と話し、今年の夏ごろまでという計画に、変更はないとしています。