まもなくゴールデンウイーク。新型コロナによる行動制限が緩和され、国内だけでなく海外からの観光客も急増していますが、観光客を受け入れる宿泊業や観光業から聞こえてくるのはうれしい悲鳴だけではないようです。


◆うれしい悲鳴の一方で……


RKB原口佳歩「1700人ほどを乗せたクルーズ船が、今到着しました」

3月30日、博多港に約3年2か月ぶりとなる国際クルーズ船が到着しました。日本政府観光局によると3月に日本を訪れた外国人観光客は182万人に上り、水際対策が大幅に緩和された2022年10月以降で最も多くなりました。

「クイーン・エリザベス号に乗ってくるようで、そこから大宰府観光」

福岡市城南区にある福岡昭和タクシー。人の動きも活発になり、客足もコロナ禍前の状態まで回復しつつあります。うれしい悲鳴の一方で、頭を悩ませているのが「運転手の不足」です。


◆コロナで減収……退職相次ぐ


福岡昭和タクシー経理課 平田泰信次長「お客さんからのオーダーは入っているのですけど、まだまだ人が足りていないので、車が余っている状態になっています」

運転手は歩合制のためコロナ禍で給料が大きく減少し、約20人が退職。運転手が足りないため、タクシーの手配の依頼を断るケースが増えています。

福岡昭和タクシー経理課 平田泰信次長「車を置いているだけでも維持経費はかかってしまうので、そこがやはり今の業界が苦しんでいるところだと思います」

福岡市タクシー協会によると、新型コロナの感染拡大前は加盟企業の運転手は約8400人いましたが、2023年2月時点で6700人近くにまで減少しています。この会社でも積極的に運転手を採用していますが、退職者も多く、必要な人数を確保できていない状況が続いています。


◆ホテルも人手が足りない!


人手不足に苦しんでいるのはタクシー業界だけではありません。

「もうバタバタですよ、いつも。チェックインぎりぎりのバタバタの感じで」

博多駅からすぐ近くのこちらのホテルでは、全国旅行支援が始まった2022年10月から予約が殺到。3月は部屋のベッドメイクや清掃作業が追いつかず、提供できない部屋もあったと話します。

博多グリーンホテル 澤田龍総支配人「10月末の全国旅行支援割から予約が増え、インバウンドが特に韓国を中心に戻ってきているなという感覚はあります」

ゴールデンウィークまでほぼすべての部屋が予約で埋まる中、人手不足を解消するため、時給を150円上げてベッドメイクやフロントのスタッフを募集。これまでに10人以上を採用しましたが、まだ人手は足りず、求人を出し続けています。


◆負担解消のために設備投資も


スタッフの負担を軽くするための対策として、5か国語に対応した自動チェックイン機3台を新たに設置。さらにチェックインの前に宿泊客から預かる荷物への対応を減らすため、ゴールデンウィークまでに34台のコインロッカーを設置する予定です。

博多グリーンホテル 澤田龍総支配人「最近は賃金も上げたところもありまして、アルバイト・パートが入ってくれ、ずいぶん今は(人手不足)が解消されてきたと思いますが、観光業が全体的に人手不足なんじゃないかなと思っています」

ゴールデンウィークを前に需要回復の期待が高まる中、観光業界には「人手不足」という課題が重くのしかかっています。