人口1万2000人あまりの町で「今年度予算がいまだに成立しない」異例の事態が生じています。3月末、岡山県の早島町議会で、なんと全会一致で否決された当初予算案。なぜいまだに今年度の予算が決まらないのか。町議会の現状を取材しました。

(委員会)
「もう少し十分な説明をやってほしかった。担当課の力量不足、説明不足というものが、予算委員会でもイライラするくらい」

4月24日、早島町議会で開かれた委員会です。当初予算案の否決のきっかけとなった、「民間に委託される新しい児童館」について厳しい議論が交わされました。

(委員会)
「委託料を1,500万に1,600万から下げたと、その内訳を聞いたら職員が何人でどうだっていう、まったくのアバウトで、これが到底納得できない答弁でしたから、この辺は問題にするべきでしょう」

昨年度末、町議会の予算委員会で、「議員による児童館の委託料や整備計画への質問」に「町が正確に答えられなかった」として、審議が打ち切られる事態になりました。

それどころか「町長に監督責任がある」として、本会議で新年度予算案が全会一致で否決されてしまったのです。

(早島町議会 眞鍋和崇 議員)
「3日間の委員会の予算審議を終えて、予備日の4日目に入ったわけですよね。4日目に入った予算審議の中でも、質疑としてこれ以上続けられない。町長の予算執行に対して住民の代表としての議会が信頼がおけないと」

【スタジオ解説】
「町を信頼できない」として、当初予算が成立しない事態となっている早島町議会ですが、そもそもこの当初予算とは「国や地方議会で年度末に決められる新年度全体を見通した予算」のことで、「行政が運営する住民サービスなどの根幹となる予算」なんです。

3月に開かれた予算委員会では、新年度予算案に含まれる「児童館や保育施設に関する町の説明が不正確」として審議が打ち切られ、それどころか本会議で当初予算案まで全会一致で否決してしまいました。

当初予算の不成立は通常起こりえることではなく、町と議会の溝は深まっています。

(前・早島町健康福祉課長 早島町出納室 今田公久会計管理者)
「質問がかなり専門的な質問になってまいりましたので、担当を含めての説明をさせていただくよう申し入れました。ただ、予備日を使ってまでの説明というのは受け付けていただけず、このような打ち切りという事態に陥ってしまいました」

(中川真寿男 早島町長)
「私たちの説明不足もあったんでしょうけど、議会の方とお話をしながら住民の生活が守られるようにですね、今度5月に臨時議会を開いていただくということになっております。そこでお話をしながら当初予算を認めていただくように努力してまいります」

町は「説明を受け入れてもらえるよう努力を続けたい」とのことですが、当初予算案が否決されると、住民福祉や公共施設の維持に必要なお金が使えません。

3月30日に臨時議会が開かれ、最低限の必要経費を「暫定予算」として全会一致で承認しましたが、5月以降の議会で再び当初予算案を図るとしています。