日本の民間企業「ispace」などが参加した世界初の民間月面探査プロジェクト。月着陸船は4か月あまり飛行して、26日未明に月面着陸に挑戦するも、惜しくも失敗…その原因について分析します。
民間初の月面着陸 挑戦も…
上村彩子キャスター:
惜しくも失敗してしまった民間初の月面着陸についてお伝えします。「HAKUTO-R」という月面探査計画ですが、民間の力を結集したものでした。

ロケットは、アメリカの民間企業「スペースX社」のもとで打ち上げられ、月着陸船は日本の民間企業「ispace」が開発しました。世界で初めて民間による月面探査プロジェクトということで、世界中から注目されていました。
今回は残念ながら失敗してしまいましたが、月の着陸船は地球から月を目指して4か月余り飛行していました。だんだん月に近づき、4月26日未明いよいよ月面着陸に挑戦したんです。

着陸の準備に入ったのは、午前0時40分ごろです。高度約100キロから降下を開始し、ここまでは順調に進んでいました。しかし、午前1時40分ごろ月面に着陸予定でしたが、通信が途絶えてしまいました。
そして午前8時過ぎ「着陸の確認は困難」だと正式に発表があったんです。
なぜ「失敗」? 燃料枯渇が原因か
では、なぜ失敗してしまったんでしょうか?

「ispace」最高技術責任者 氏家亮さん
「燃料が尽きて自由落下に至ったということだと思う」
月面に衝突した可能性が高いということなんです。どういうことなのか詳しく見ていきましょう。

着陸船は、着陸に備えだんだんと減速していき、横の姿勢から垂直になっていく必要があります。
その間に、ガスを噴射して向きを変え、だんだんと降下していきますが、このガスが途中で燃料が尽き、落下したとみられ月面に衝突。これによって通信が途絶えたとされています。

東京理科大学機械航空宇宙工学科 米本浩一教授
「着陸は”最大の難所”と言える。距離を測り推力制御を行うため大変難しい技術。高度計算システムにエラーが出て、燃料が枯渇した可能性も」
もう一歩のところだったんですが、残念ながら失敗となってしまいました。
ホラン千秋キャスター:
着陸こそできなかったものの、直前までは成功したと捉えるのであれば、来年も再来年も打ち上げが計画されているということだったので、多くの方の夢と願いをのせているので、うまくいかないと涙してしまう気持ちもわかるんですけど、応援したいと思いますよね。
萩谷麻衣子弁護士:
成功の一歩だと思いますよ。ベンチャー支援がまだまだアメリカの規模に及ばなくて、リスクマネーの供給も、ほとんどないような環境の中で、よく100人ぐらいの会社がここまで来たなと思いますね。
重力が月にあって減速しないと激突するし、減速して燃料が尽きちゃうと引っ張られて衝突しちゃうし、そこが難しいのでしょうね。
井上貴博キャスター:
私も失敗がことさらクローズアップされるのは嫌で、かなりの部分で成功していることを前向きに捉えたいなと思います。もう一つ、世界各国がこれだけ月探査、宇宙開発を続けています。地球上でも法律を作ってもこれだけ覇権争いをしている中で、宇宙のルールはどの国が主導して、法律を考えていくのでしょうか。
萩谷弁護士:
それは国連主導でやっていくべきだと思いますが、月の利用については規約もあります。宇宙の平和利用については宇宙条約というものもありますけど、まだまだ足りてないと思いますね。
井上キャスター:
全然進んでいないですよね。
萩谷弁護士:
そうですね。これから覇権争いになっていく前に、民主主義の国が主導してルールを作ってほしいと思います。