信用リスクのポイントは「金利高」「景気減速」「貸出厳格化」 住宅ローンや商業不動産は要注視

今一見、株式市場も落ち着いたかのように見え、金融不安は収まったのではないかと思う人もいるかもしれない。しかし、そのようなことはないのではないか。信用リスクの今後のポイントをまとめた。

ーー今どんどん金利が上がっている。これが人々の不安の根底にあるということか。

BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
そもそもですが、2022年1年間で0.75%を4回という驚きの金利の上げ方だったわけです。0近傍だった金利がもう今や5%近いわけです。これだけ金利が上がったら負債を保有している人から見れば大変なことです。にもかかわらずこの数か月は金利上昇してもあまり影響がないという話でした。でも、まずは銀行で出てきてしまったわけです。負債を持っている人はみんな共通の悩みを持っているはずです。ここからまだ出るのではないかと考えるのが普通だと思います。

ーーもう一つが、金利が高くなって意識的に景気を今落としているわけで、減速あるいは場合によってはマイナス成長、後退ということが起きてくると信用不安が高まる。

BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
銀行決算で見るとアメリカの下期はもうマイルドリセッションだと言っています。そうすると後半は景気が悪くなるはずです。景気が悪くなると不良債権という問題が増えていくはずです。なぜなら、貸し倒れていくからです。金利が上がって誰が大変かということがはっきりわからないうちに景気減速によって不良債権が増えていくということもあるので、ダブルで問題は大きくなるのではないでしょうか。

ーーそして、もう一つが今回の金融不安で融資の姿勢が厳格化してくるのではないかと。これは実は一番大きく効いてくるかもしれない。

BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
もうすでに起きてきています。例えば預金を外してMMFに移したり、預金の間でも中小銀行から大銀行に移し替えるということがもう起きているし、貸し出しの方も大銀行も中小銀行もみんな貸し出しの態度を厳しくしていて、お金が出なくなっています。これから本当に出るのか出ないのか、誰だったら出せるのか、その線引きが出てくると思います。結構厳しいことが起きてくると見るべきだと思っています。

ーー金融不安が峠を越えたと思うのは早計で、むしろこれから環境としては厳しくなってくると見た方がいいのか。

BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
例えば当局に「もう大丈夫、預金は保護します。安心してください」と言われると、それを疑う理由はあまりありません。だから、瞬間的に安定するのは間違いないことですが、申し上げたようにさまざまなリスクが残っているので、この火種をどこが受け止めるのか。それは十分見極めないとこれで終わりだと考えるのはいけないかなと思います。

ーーアメリカの金利引き上げ局面は、世界的に危機が起きることが多い。新興国やシャドウバンクなどいろいろ推測していたが、いきなり銀行にきてしまったというところが不気味だ。

BNPパリバ証券 中空麻奈氏:
シャドウバンク、ヘッジファンドなのではないかと言われていたのですが、銀行に来た。銀行のリスクはどこに行っているのか。これから貸し出しが終わっていくと企業の資金繰りが止まったりすることがあると思います。数日前にベッド・バスというところが破綻申請をするという話が出ましたけれども、この会社もずっとまずいと言われていたのですが、ついにお金が止まってしまうわけです。このようなことはこれからまだ出るし、住宅ローンや商業不動産などがどうなるのか見ておく必要があると思います。

(BS-TBS『Bizスクエア』 4月22日放送より)