「びっくりしました。勝てると思わなかったので嬉しかったです」
「那覇西は今までは目標だったから、勝つことができてよかったです!」
「県総体では優勝目指して頑張りたい」

先月行われた高校ハンドボールの春季選手権で、去年・一昨年の総体準優勝校、那覇西を撃破し初優勝を手にした北中城。翌日のスポーツ面には「北中城逆転 初の栄冠」の見出しが。

南風原安伸監督「何よりもハンドボールがすごく好きでみんなで一緒に勝とうという思いが、僕は就任5年目ですが、今までで一番強い世代だと感じている」

他の部活動との兼ね合いで、体育館で練習できるのは平日は2日間だけ。それ以外は、校内の空きスペースが練習場です。

大城佳吾主将「那覇西、興南よりは練習時間や体育館を使える日が少ないと思うが、その中でどれだけ内容にこだわってレベルアップできるかが大事だと思って、会話が増えてきて、練習の質が上がってきていると思う。」

チームを率いるのは、キャプテンの大城佳吾。状態もよく順調に仕上がっているように見えますが、実は…

「今の自分のパフォーマンスを100点満点表すなら何点くらい?」
「60点とか…」

大城は、高校1年生のおととし11月、練習中に左膝の前十字靭帯を損傷。手術のため去年1年間は治療に専念しました。

理学療法士 伊波光さん「これが手術の跡になる。半月板と言って、膝の軟骨、内側も手術しているので、こっちにも傷がある。今はとてもきれいです」

しかし復帰を目前に控えた今年1月。リハビリも兼ねて少しだけ出場した試合で、シュートを打ち着地した瞬間、再び左膝の前十字靭帯を損傷。1回目の時と同じく手術が必要な大怪我をおいました。しかしメスを入れると総体に間に合わないため、大城は固定やリハビリで経過を見る『保存療法』を選びました。

理学療法士 伊波光さん「保存療法だと怪我のリスクはあるが、ある程度ガチガチに固定して、プレーも制限させながら復帰というのも可能になるので、大城くんがそれを選択したので。葛藤はあったんじゃない?」

大城佳吾主将「もう一回、前十字靭帯を切った時はハンドをやめようか悩んで、部活に行っても楽しくないし、リハビリに行っても楽しくないから、落ち込んだ時があった」

母・美和子さん「一番苦しかった時期は2回目に怪我をした時で、あの時は、本人あまり感情を出さなかったんですけど、こらえている感じ」

消えかけたハンドボールへの情熱。再び火をつけたのは、キャプテンの帰りを待つ仲間の存在でした。

大城佳吾主将「大会や試合を見ていたら、自分ももう一回やりたいと思う気持ちにさせてくれるチームだったので、怪我をしていてもここでプレーしたいという思いでリハビリしています」

特に同学年の宮城理央は、小学校からの幼なじみ。バディを組むのはいつだって宮城です。

宮城理央選手「1年の時に怪我をして、丸一年プレーが一緒にできなくて悔しかったけど、佳吾の分まで俺が頑張って、こうして一緒にプレーできてとても嬉しいし、新チームになってキャプテンもやってくれて引っ張ってくれているし、もし佳吾が困ったら俺が手助けしたい。県総体で優勝して、一緒に優勝カップ持って写真を撮ったり、ご飯を食べに行ったりしたいです」

1年生の時以来2年ぶりの総体へ。頼れるキャプテンが北中城を頂点に連れて行きます。

大城佳吾主将「このチームでプレーしたいし、このチームで優勝することに意味があると思うので、手術をしないでもう一回一緒にプレーして、興南を倒して優勝したいと思ってリハビリを選択した。ずっとスタンドで見ていた分の悔しい気持ちがあるので、コートに出て発揮できたらと思う」