5月8日から、新型コロナの感染症法における分類が季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げられ、医療体制や療養期間などが変わります。北九州市の病院では24日、入院患者の面会が3年ぶりに再開されました。
◆病院内での制限が緩和されて

RKB黒木秀弥「こちらの病院では、きょうから院内の感染対策が緩和されています。正面玄関に設置されていた検温機や、消毒機は撤去されました」
北九州市の小倉記念病院は3年前から、新型コロナの感染対策として、入院患者への面会は原則禁止、入院する際も病室への立ち入りは患者以外禁止するなどの感染対策を徹底してきました。新型コロナの感染症法上の分類が5月8日から5類に引き下げられることを受け、病院は24日から院内での制限を一部緩和しました。入院患者への面会は「午後の時間帯に限り2人まで可能」とし、「入院時の付き添いは2人まで入室できる」ようにしました。
がん治療のため入院している77歳の女性は、2年前に手術で入院した際は面会が制限され、夫と会えない日々が続きましたが、今回は入院から約1週間で会うことができました。
女性「面会できるって聞いてうれしかったです。正直言って最高ですよね、私にとって」
夫「やっぱりうれしいですね、本当やろうかなって思った」
女性「主人はもう、私のこと大好きなんですよ」
夫「よう言うわ」
◆マスク着用などは今後も継続

一方で、不織布マスクの着用、職員が感染した場合や濃厚接触者になった場合の隔離期間などについては、今後も継続します。
小倉記念病院 宮崎博章感染管理部長「今後、緩和していくことで院内感染のリスクが懸念されているが、緩めるところと今まで通りの対策を堅持するところを分けている。重要な医療機関が患者を拒絶するというのは望ましくない。『来ていただいて安心していい医療を』というのが僕らの気持ち」
◆外出自粛も「個人の判断」に

政府は4月14日、新型コロナの5類引き下げに伴う新たな「療養の考え方」を発表しました。現在、「発症後7日間」は「療養期間」とし、外出の自粛を要請していますが、5類となる5月8日以降、外出は個人の判断に委ねるとした上で、「発症後5日間」は外出の自粛を推奨するとしました。
5日目でも症状があれば熱が下がるなど体調が回復してから1日程度は外出を控え、当面はマスクの着用や高齢者との接触を自粛するよう呼びかけています。
都道府県ごとに毎日発表している新規感染者の数は、全数把握から定点把握として週に1回の発表に、死者の数は5か月に1回月単位で発表する方針です。
また、薬局や空港などで実施している無料のPCR検査や抗原検査については5月7日で国が止めるにあわせ、福岡県も終了する方針です。
ワクチン接種も変わります。高齢者や基礎疾患のある人、医療従事者などは年2回の接種に、そのほかの人は年1回の接種で、2023年度中は無料となります。コロナ患者を受け入れていたホテルの宿泊療養施設は5月7日をもって閉鎖となります。
◆引き下げで大きく変わる「医療費」

RKB本田奈也花「駐車場で行われている発熱外来にはピーク時、枠を超えるほどの車が停まって混雑していましたが、現在は半数程度となっています」
福岡市西区のクリニックです。新型コロナが感染拡大していたころは1日30人以上の患者が発熱外来に来ていましたが、最近は1日2~3人と大幅に減っています。
看護師「(ピーク時は)かなりお待ちになってたんです。大体2時間、会計からお薬をもらうまで。防護服とマスクと全身防護でスタッフの方が悲鳴を上げていた感じ。今は、全然楽」
◆「通常の診察料にプラス3000円」

現在、70歳未満で保険負担が3割の患者が発熱外来のクリニックを受診した場合、検査代はすべて公費で賄われるため、支払いは初診料など約3000円となっています。しかし、5月8日以降はインフルエンザとほぼ同じ扱いになるため、検査代や診察代などが原則自己負担となり、窓口で支払う料金は1000~1500円程度上がります(検査の種類による)。
やまもとホームクリニック 山本希治院長「通常通りの保険診療という形で、患者さんに3割分の負担をしていただかなくてはいけない状況。実際どれくらいになるのか計算すると、通常の診察料にプラスでさらに3000円くらいかかるような状況ですので、しっかりお話をさせていただかないと、会計の時にびっくりされることになると思う」
薬代については治療薬がまだ高額なため、9月末までは公費負担が続きます。
ただ、医療費が上がれば病院に行く人が減ることも予想されていて、感染拡大や重症化などが懸念されています。福岡県や福岡市の医師会などは9月末にかけて発熱患者を受け入れる医療機関を増やしていく方針です。
やまもとホームクリニック 山本希治院長「今後発熱外来をする医療機関が増えれば、よりコロナ禍前の状況に近くなるのかなと思います。医師会や福岡市の方針でうちとしてはできる限りのことをしていく」
◆教育の現場では?

一部の小学校では、出席停止の期間や学級閉鎖の基準が変わっているようです。
RKB本田奈也花「小学3年の授業です。先生はマスクを外していますが、子供たちの約2割はマスクをつけています」
福岡市の警固小学校は今年度から、マスクの着用は個人の判断に委ねています。低学年は多くの児童がマスクを付けていないのに対し、高学年はほとんどの児童がマスクを付けているそうです。
児童「マスクを付けてたらきつかったから、ちょっと楽になった」「マスクはあんまり外したくないな。付けているのに慣れているからだと思います」
RKB本田奈也花「みんなの顔を見たことは?」
児童「あんまりないです」
警固小学校 田中賢治校長「顔を見られるとか、集団の中で自分だけ外すのはというのがすごく働いているんじゃないかなと思います。一番心配されているのが、マスクを付けること・付けないことのいじめとかですね。そこに対する指導は、事前に私の方からも始業式にしましたし、担任の方からも各学級に指導しています」
◆黙食当時と今はどう違う?

2022年6月に撮影した、警固小学校の給食の様子です。黙食は緩和されていましたが、児童たちは同じ方向を向き、あまりしゃべらずに食べていました。あれから約10か月、給食をどのように食べているのでしょうか。
RKB本田奈也花「給食の時間、児童たちは机を合わせることなく、前を向いて食べています。黙食も求められていませんが、皆さん静かに校内放送を聴きながら食事をしています」
学校は机を向かい合わせて会話をしながら食べることも認めていますが、以前とあまり変わっていませんでした。
児童「給食の時はあんまり話さないけど、昼休みはいっぱい話したりしている」
警固小学校 星子竜一教諭「まずは前を向いて少しずつ食べて、慣れていきながら、班にしたりとか変えていこうと思う」
◆コロナ禍前に徐々に戻る学校行事

5類への引き下げによって、感染者の療養期間が7日間から5日間に短縮されるのに伴い、学校の出席停止期間も短くなります。警固小学校ではすでに新学期から出席停止期間を「発症後5日間」に短縮しています。
さらに学級閉鎖の基準も変更しました。これまでは3日以内に2人以上の陽性が出たら学級閉鎖としていましたが、新学期からは季節性インフルエンザと同様に2~3割の欠席で学級閉鎖を検討するようにしました。授業も予定通り進めることができ、学校行事もコロナ禍前に徐々に戻っているといいます。
警固小学校 田中賢治校長「昨年度は、運動会を前半と後半に分けた。今年度はもう一斉に1年生から6年生まで全員出てすることになりました。他の保護者の入場の制限も、昨年度は2人までとお願いしていたんですが、今年は入場制限もなく、皆さんに来ていただくと考えています」
◆「土日も携帯に連絡」なくなって教員の負担減る

新型コロナの対応が変わったことで、教員の負担も大きく減ったといいます。
警固小学校 田中賢治校長「以前は土日でも、保護者の方には陽性が判明したら、学校の携帯電話に連絡をしてもらっていたんです。4月から、連絡はもう必要ないということに。これまで土日も職員は携帯電話を持って帰って、ずっと待ち受け状態でいたので、負担だったと思うんですが、それがなくなってよかったです」














