あさって統一地方選の投開票を迎えますが、実は、全国各地で相次ぐのが選挙なしでの「無投票当選」です。今、地方議員の「なり手不足」が深刻化しています。
さいたま市北区。小雨の降る中、候補者の「最後の訴え」が始まります。
候補者の横でたたずむ男性。一見、裏方に見えますが、実は埼玉県議選の立候補者です。なぜ、他の候補の選挙応援をしているのでしょうか?
小川寿士さん
「県議選なので、1万6000枚法定で認められておりますビラなんですけれど、ほぼ使い切れなかったということで、この後、焼却するしかないかなという感じです」
9日に投開票が行われた埼玉県議選。小川寿士さんの選挙区は、定数が2人。立候補者は小川さんと関根信明さんのみだったため、「無投票当選」となったのです。
埼玉県議選で無投票当選 小川寿士さん
「やっぱり名前を書いて頂いて当選して、そして、議会に行くのが一番自分にとっても自信になりますし」
統一地方選・前半戦で行われた41道府県議選の定数は2260人。そのうち565人が無投票での当選でした。実に4人に1人が選挙の洗礼を受けていない計算です。
議員のなり手不足の一因は、若い世代の政治離れです。
「政治はやりたいとは思わないよね」
「無理です、無理です」
「面白そうだなとは思うんですけど、実際の決断となると、やっぱりちょっとハードル高いかな」
「国会議員はまだマシだと思うんですよ。でも、ローカル議会に来ると、そのクオリティがガツンと下がると」
神奈川県秦野市議会議員の伊藤大輔さん。地方政治の世界に飛び込んだ1回生議員です。
なぜ、なり手が不足しているのか、伊藤さんはこう考えます。
神奈川県秦野市議会議員 伊藤大輔さん
「例えば、駅での政治家の演説ですよね。『私何々は皆様のために命を賭けて』みたいな、土下座する勢いみたいな。あんなの『俺できないよ』ってなるわけですよ」
ブラジルのスラム街を撮影する写真家として活躍していた伊藤さん。メディアでも特集が組まれるほど、有名な写真家でした。
一転して、秦野市議会議員に立候補したきっかけは、子どもの通学路に工場誘致の話が持ち上がった際に、行政の説明や市議の対応に納得できなかったことでした。
伊藤さんが選挙にかけた費用は12万円ほど。2019年度の議会活動は38日間で報酬はおよそ760万円。写真家との兼業も無理なくできているといいます。
「議員は普通の人にはできない特殊な仕事」そんな固定観念は捨てて欲しいと伊藤さんは主張します。
神奈川県秦野市議会議員 伊藤大輔さん
「『700万円もらって、僕一生懸命やります』で良くないっすかって。議場で発言もしない、『いいね!』のボタンをクリックしてるだけの議員なんかより、やっぱり僕は『このくらい報酬をもらって、兼業で一生懸命やっています』『こういうことやってます』っていう人間の方が信頼できると思ってるんですよ、信頼できるって」
私たちにとって一番身近な政治家、地方議員のなり手不足解消は急務です。
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