この歌声に応えるのはサッカーしかない
この試合に先発出場した上村は、千葉のスタジアムに詰め掛けたロアッソサポーターたちが歌う「HIKARI」を聞きながら、心に誓った。

「自然と涙が込み上げてきたし、僕らが歌ってくれている人たちに何かを返せるとしたらサッカーを通じてなのだろうと思ったのと、沢山の人たちがこの瞬間を待っていたんだなということも感じながら『頑張ろう』」と。
その1週間後の5月22日には、水戸ホーリーホックとの試合がロアッソ熊本の 「ホームゲーム」として行われたが、まだ県内のスタジアムは使える状況ではなく、千葉県柏市のスタジアムを借りての開催だった。
この時、熊本市のアーケード「サンロード新市街」ではパブリックビューイングが行われ、柏市の会場に行くことができなかったサポーター約700人が詰め掛けた。

ここでもスタジアムと同じように「HIKARI」を大合唱。熊本県内にも希望の歌声が戻った。
筆者もその光景を目の当たりにしたが、魂を揺さぶられるような歌声だったことを鮮明に記憶している。

それから7年。
当時からトップチームに在籍している選手は上村を含め、2人だけになった。
今も益城町に暮らす上村は、熊本地震の震源とされる断層を見に行くなど、折りに触れて地震のことを思い返し、故郷に思いを馳せながら現役生活を送っている。
「サッカーができるのは当り前じゃないということは、地震のあといっそう強く感じたし、今は常にそう思いながらプレーしている」と上村。
その姿を見て何を感じ取るかは、押し付けるものではなく「見てくれた人たちが判断するものだと思う」と前置きした上で、「僕自身の最後まで諦めない姿であったり、走って戦い続ける姿を見せ続けたいなと思うし、自分ができることを100%やり続けていく」と力を込めた。
「県民に元気を」
「子ども達に夢を」
「熊本に活力を」

その理念のもとにロアッソ熊本が歩みを進める限り「HIKARI」の歌声は皆へと届き続けるはずだ。
熊本放送 吉田明央














