福島県国見町が計画していた「大型事業」が中止となった問題です。

国見町は、当初「企業版ふるさと納税」で4億円あまりの寄付を集め、高度な救命措置が可能な「高規格救急車」を開発し、貸し出す事業を行う計画でした。

町が、去年11月にこのリース事業の委託業者を募ったところ、宮城県の会社「ワンテーブル」1社がこれを受託しました。しかし、その後問題が発覚します。

今回の事業では、匿名の企業3社から町に4億3000万円あまりの寄付がありましたが、その3社は同じグループで、ワンテーブルとも関連があることが、一部報道で、明らかになりました。

町によりますと、ワンテーブルの社長は、「超絶いいマネーロンダリング」「自治体の行政機能をぶん取る」などと発言していたということです。

どういうことかといいますと、この寄付は「企業版ふるさと納税」で、寄付した金額の9割が控除の対象となります。実質的な企業の負担が1割ほどに軽減されるため、「課税逃れ」の可能性も指摘されています。

町は、これらを受けて「会社との信頼が失われた」として、業務委託についての契約を解除しました。その一方で、高規格救急車はすでに12台が完成していて、町では今後、他の自治体に寄付する意向を示しています。こうした中、町が20日、住民説明会を開きました。

町民「具体的な事実を早く出していただきたい」

20日夜に開かれた国見町の住民説明会。参加した住民からは、救急車の貸し出し事業について、詳しい経緯の説明を求める声が相次ぎました。

町はすでにある12台の高規格救急車を県内の自治体などに寄付する方針ですが、受け入れ先は決まっていません。

町民「(救急車が)余った場合どう考えているのか?」
引地真町長「12台については寄付先を見つけ、使い道がない車が出てしまわないような努力をしたいと思っている」

また、救急車を開発する予算が議決されてから、業者との契約まで、およそ3か月という期間が、不自然に短いのではないかという指摘も…。

町民「3か月半で、この期間で救急車の開発ですよ。基礎研究すらわからないと思うんですけど…」
引地真町長「出来レースということではございませんのでご理解いただければと思います」

説明会のあと、取材に応じた町民は、「なぜ12台も救急車を作らなければならなかったのか」、「しっくりこない説明だった」と話しました。

いまだ町民が納得するような説明が果たせていない国見町。町では、今後も住民説明会を開くほか、第三者委員会を設置し、調査することを検討しています。