共同通信 太田昌克 編集委員
「非常に広島のみなさん、そして長崎もそうだと思うんですけれども、期待値高いと思うんですね。岸田総理の首脳外交を支えているスタッフを取材していまして、ちょっと、わたしはペシミスティック、悲観的なんですね。いかなる形でも(核兵器を)未来永劫使わないんだという宣言が出るかどうかといったら、わたしは、はなはだ疑問なんです。すなわち、使わないとトップが明言したとたん、核の脅しが効かなくなるんじゃないか。そういう懸念を持っているのは、実はフランスを中心とした核保有国なんですね」
そもそもG7のメンバーは、核保有国が3か国、核の傘の下にある国が4か国。それが北朝鮮のミサイル発射、米中対立を背景にした台湾情勢の緊張などを背景に、核保有国や日本を含めた核の傘の下にある国も、核廃絶とは逆に核への依存を強める傾向にあるといいます。
共同通信 太田昌克 編集委員
「ある外務省の高官はわたしにこう言っているんですね。太田さん、あなたのいう『核なき世界』というのは非常によくわかる。しかし、今は抑止力を上げる時だと。やはり『核なき世界』ということは、もちろん言うんだけども、たちまち、もう核を使いませんということは、やはり核保有国は言えないんじゃないか。なぜなら抑止力を弱めてしまうからだと。今、G7の政策エリートたちが考えていることは、抑止をより強めなきゃいけない時なんだと。だから、核を二度と使わないというふうなことを公式に宣言することは難しいというのが、今のG7の国々の共通認識だというふうに考えていいと思います」
G7サミットまで残り1か月。長年、核兵器廃絶を訴えてきた被爆地・広島に求められることとは…

共同通信 太田昌克 編集委員
「サミットのプロセスっていうのは密室の協議で行われて、最終文書の策定も最後まで密室で行われるんですけれども、大切なことはわたしたちがしっかりと声を上げていくことだと思うんですね、この1か月で」

「やはり、こんなことが起きるんだよと。核を使ったら、こんなとてつもない、いまだ、この78年続いている戦後の歴史、この中でも多くの被爆者の方々が苦しんでおられるんだ。放射線におびえていらっしゃる方がたくさんおられるんだ。これが核の真実だ。だから、それが使われた時にどんなことがあるのか、そういったことに依存した核の抑止力って本当に安全なんですか。本当に持続可能性があるんですか。そういう問いをやっぱり、わたしたち自身がより強くこの1か月、発していかなくてはいけないし、むしろ核抑止にしがみついている政治リーダー・政策エリートに覚醒ですね、目覚めてもらう機会がやっぱり広島サミットでなくてはいけないと思います」