4月から自転車を利用する際のヘルメット着用が努力義務化されました。悲惨な事故が減ることに期待が寄せられる一方で、自転車に乗る人たちの反応は様々です。

4月1日に改正道路交通法の施行され、これまで13歳未満の子どもが対象となっていた自転車に乗る際のヘルメット着用の努力義務が、乗る人全てに拡大されました。

その背景にあるのは、後を絶たない自転車が絡む事故です。

2022年10月、愛媛県新居浜市内で国道を自転車で横断していた80代の女性が軽乗用車にはねられ、頭を強く打ち死亡しました。

また11月には、松山市内で自転車同士が衝突し、80代の男性が頭に大けがをしました。

停止状態から倒れ込む自転車。乗っている人形は、頭を打ち付けているように見えます。これは、JAF(=日本自動車連盟)が行った実験の様子です。

子どもに見立てた人形を乗せた自転車を転倒させ、ヘルメット着用の有無による違いを調べました。

その結果。
ヘルメットを着用せず転倒した場合、衝撃によって脳が受ける影響は着用している場合のおよそ3倍となることが分かりました。

悲惨な事故を減らすために4月1日から施行される、ヘルメット着用の努力義務化。警察によりますと、愛媛県内で過去5年間に自転車を利用中の交通事故で亡くなった人は38人。
うち34人、実に9割に当たる人が、ヘルメットを着用していませんでした。

こちらは、ヘルメットを取り扱う自転車の専門店。
努力義務化を控え、2022年の年末ごろから販売が伸び問い合わせも増えていると話します。

(イオンバイク松山店・鎌田智己店長)
「去年より5倍以上、問い合わせがあり、売れている」

販売が2022年の同じ時期と比べおよそ5倍に伸びていて、その注目の高さが伺えます。

「若い人はもちろん、年配の人からの問い合わせもある」

客層のほか売れ筋の商品にも変化があるとのこと。

「こういったスポーツタイプのヘルメットを想像することが多いと思うが、バイザーが付いた、街中で、普段着で被れるような帽子型のものや、こういうデザインのもの、街中で普通に被れるものが売れている」

デザイン性の高い商品が増え、選択の幅は随分広がっているようです。ヘルメットの選び方についても聞いてみました。

「被ってみて、きつくないかと、すき間が大きくないかをチェックする。アジャスターがあれば微調整することができる。あごひもの調整は、指2本が入るくらいのすき間に調整する。大きすぎても小さすぎても、安全性が損なわれてしまう」

自分の頭の大きさに合ったものを選ぶことが何より重要と話します。

4月から、全ての人を対象に実施されたヘルメットの努力義務化。被っていなかった場合、違反になってしまうのでしょうか。

愛媛県警の「バイシクルユニット」隊員に聞いてみました。

(愛媛県警交通企画課・井上貴志警部)
「被らなかった場合どのような取り締まりがあるのか?」
「ヘルメットを着用していなかったからといって罰則はない。ただ、警察官が街頭監視のときに、被っていない人を見たら、声を掛けて、ヘルメット着用をお願いしたり、チラシを配布することはあると思う」

警察は、着用率が伸び悩んでいる年齢の高い層に対しても、積極的に呼び掛けを行う方針です。

「ぜひ、ひとりでも多くの県民の方々に、自転車でヘルメットを使う重要性を認識してもらい、広く県民の方々に輪が広がっていくことを願っている」

ヘルメットの着用は、あくまで「個人の判断」ということになりますが、悲惨な事故を防ぐため、ひとりひとりが意識して行動することが大切です。