瀬戸内市にある国のハンセン病療養所、長島愛生園に研修などに利用される新たな交流拠点施設が完成し、きょう(4日)運用が始まりました。多くの人が差別・偏見を受けたその歴史を後世へ繋ぐ。入所者の強い思いが込められた施設です。

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)「やっと皆さん方に来ていただいて、泊まってこの島を見学・学習していただく場所ができました」

爽やかな春風が吹く中、瀬戸内市の長島愛生園に完成した社会交流会館「むつみ交流館」です。


運用開始セレモニーには、園の入所者など約30人が参加し開館を祝いました。



2階建ての「むつみ交流館」は旧病棟を改装した施設で、入所者との交流や、ハンセン病問題についてより深く学ぶことを目的とした宿泊研修施設です。

(長島愛生園入所者自治会 中尾伸治会長)「ここで泊まってじっくりと(園内を)見ていただきたいなと。人が人を差別したんだということを知っていただきたい」

国の誤った政策で強制的に隔離されたかつてのハンセン病患者たち。入所者の高齢化も進んでいて平均年齢は88歳…けさ(4日朝)も、ひとりの入所者が亡くなるなど、差別・偏見を受けた当事者は年々減っています。

長年、語り部として活動する石田さん。この施設で歴史だけでなく未来に繋げたい思いがあるといいます。

(長島愛生園入所者 石田雅男さん)「生かされて残っている人の務めとして。(亡くなった人たち)の分まで語らないといけない。これから残された生の時間を費やしていけたら」

また療養所の世界遺産登録を推進する協議会事務所も邑久光明園から愛生園の交流会館の近くに移転しました。

差別・偏見の歴史を後世につなげる取り組みが広がっています。
(スタジオ)
「むつみ交流館」への宿泊は電話やメールで予約可能ですが、当面は、長島愛生園で学生などを対象にした研修を実施したい団体や行政機関を中心に予約を受け付けるということです。