音楽家の坂本龍一さんが亡くなりました。坂本さんは東日本大震災のあと岩手県住田町で木造の仮設住宅の整備を支援していて、当時交流のあった住民が在りし日を偲んでいます。

(坂本龍一さん 2011年7月)
「とても木の香りがして住みやすいと。特に今年の夏は暑いですから大変だろうと思いますけれどもそれでもプレハブの仮設住宅に比べればだいぶましかなと」

 生前、森林保全団体の代表を務めていた坂本さんは、東日本大震災発生後の2011年7月に岩手県住田町を訪れました。
 町内でとれた木を使い仮設住宅をいち早く建設した町の取り組みに賛同し、支援のための協定を締結するなど交流を深めました。
 住田町下有住に家族6人で暮らす河野みさ子さんは、陸前高田市の自宅が津波で全壊しました。河野さん一家は3年あまりにわたって避難生活を送った木造の仮設住宅と同じ建物を町から払い下げ、8年前に再建した自宅の隣に移築しました。

(河野みさ子さん)
「(家族)みんなが欲しいって。やっぱ思い出のある家なので私たちにすぐに買いたいってなりました」

 住田町の木造仮設住宅にはプレハブ仮設にはない木のぬくもりがあり、少しでも快適な避難生活を送ってほしいという願いが込められています。坂本さんが住田町を訪れた際には河野さんら仮設住宅の住民たちと食事会をして交流を深めました。

(河野みさ子さん)
「今この生活があるのも坂本さんたちの力があってのことだと思っています。感謝の気持ちでいっぱいです。ご冥福をお祈りいたします」

 被災地に寄り添い続けた坂本龍一さんの思いがこもった木の仮設住宅。河野さんはこれからも大事に使っていきたいと話しています。