新年度がスタートする4月1日は様々なものが変わります。これまで「ご近所トラブル」の原因となることが多かった、あるルールも変わります!

名古屋市内の住宅街の一角。大きく育った木が、敷地の外側にまで枝を長く伸ばしています。もしこの枝が自分の家の敷地にまで伸びてきてしまったら、どうすればいいのか?


これまでは勝手に切ることはできませんでした。しかし、4月からは切れるようになるんです。その背景には一体どんなことがあるのでしょうか?

(法制審議会-民法・不動産登記法部会 吉原祥子 元・委員)
「人口が減り、高齢化が進み、空き家や空き地が増えてくる中で、もう少し迅速な手続きができるようになる必要があるだろうということから、従来から疑問視されていた規律について見直されたということ」

民法の改正によって自分の家の敷地にまで伸びてきた枝は、一定の条件を満たせば、切ってもよくなるのです。そのルールはこうです。

まず、土地の所有者に「枝を切ってください」とお願いします。しかし、2週間ほどしても相手が対応してくれなければ、自分で切ってもOKです。

また、隣が空き家で所有者と連絡がつかない場合は、自分で切ることができるようになります。

さらに、台風などが近づいて枝が折れる危険が想定される場合も、自分で切ることができるようになります。

(法制審議会-民法・不動産登記法部会 吉原祥子 元・委員)
「そもそも、お隣から枝が伸びてきた問題に対し、取り得る手段というのが裁判所の判決を得て隣の人に切ってもらうという手続きの重さ、アンバランスが問題でした」

これまでは隣の人に訴えても対応してもらえない場合、裁判所の判断を仰ぐしか対処の方法がありませんでした。

手続きに時間がかかりすぎていたトラブル解消への道のり。今回の民法改正で、短縮されるのでは、と期待されています。


また、今回の改正の背景には「空き家・空き地問題」などもありました。国の調査では相続の登記がされないなどの理由で、所有者がわからない土地の割合は全体の約4分の1にのぼっています。
そのため、伸びてきた枝をなんとかしたくても所有者に連絡がつかないケースが増えていることから、今回の法律改正に至ったのです。